リコー、SA型ローカル5Gを活用したデジタル技術を製造工程に実装

株式会社リコーの製造拠点であるリコーインダストリー東北事業所は、デジタルマニュファクチュアリング（DM）を開発・実践する国内工場として、DM全般のユースケースの社内実践を推進している。

そうした中リコーは、2021年3月より、同事業所にスタンドアローン型（SA）型ローカル5G環境を構築し、検証と関連する技術開発を進めてきた。

そして本日、リコーインダストリー東北事業所にSA型ローカル5Gを敷設して開発した、5Gの特徴を活用した製造工程を効率化する技術を、デジタルカラー複合機の量産組立工程に実装、検証を開始したことを発表した。

同事業所に敷設したローカル5Gは、SIM管理をする5G Coreがクラウドにあり、工場内に設置された基地局CU・DU（Central Unit・Distributed Unit）から2つのアンテナRU（Radio Unit）、80mx20mのデジタルフルカラー複合機の組立生産ラインに、Sub6帯（4.9GHz）の5G電波を放射するシステムだ。

今回、モデル工場である東北事業所において、高速大容量、多数同時接続、低遅延を生かした3つの技術を開発し、複合機の量産工程において実装・検証を進めている。

今後は今回構築したそれぞれの技術の検証をさらに進め、他拠点への展開および外部へのサービス提供を検討していくとしている。

さらに、5Gを活用したその他の事例についても順次、企画および実証を進めていく予定だ。

ローカル5G活用の3つのユースケース

遠隔共有システム

生産現場の天井に360°カメラ「RICOH THETA」を吊り下げ、リコー独自のストリーミング技術と組み合わせることで、4K360度の高解像度のライブ映像を、リアルタイムで取得可能なシステムを構築。5Gの高速大容量を活かした事例だ。

吊り下げた360°カメラのユニットは、レールによる移動機構を備えており、遠隔地の視聴者は手元のデバイスで視点を操作し、拡大縮小して視聴することができる。

生産設備の情報取得

5Gの多数同時接続を活かし、ボード型コンピュータRaspberry Piに各種センサ・カメラなどをつなげた機器を生産工程に大量に配備して、生産データをリアルタイムに収集。生産現場のデジタルツインを進めている。

また、RFID、Bluetooth、Wi-Fiなどの既存無線周波数のチャネルの重複による通信不良という周波数帯の整理を行うため、5Gも活用することで、今後もデバイスを増やしながら安定した通信環境の確立を目指していく。

現場作業の技術支援

5Gの低遅延を活かし、Microsoft社のHoloLens2と、リコーのDynamics 365 Remote Assistを用いて、他拠点と東北事業所間で現場映像を共有して技術支援に取り組んでいる。

厚木事業所の作業支援者と東北の現場作業者をつなぎ、リアルタイムに現物を見ながら、映像に重ね合わせた矢印による指示や、低遅延のコミュニケーションを行う。

IoTNEWS編集部

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