Industry4.0のドイツ最新動向と最新データから読み解く産業向け IoTセミナー レポート

9月2日金曜日、IoTNEWS主催の元「Industry4.0のドイツ最新動向と、最新データから読み解く産業向けIoTセミナー 」が、株式会社ウフル社のイベントスペースにて開催された。

IDC Japanアナリストの鳥巣氏からは国内外の最新のIoTの状況について、ウフル八子氏からはドイツのアーヘン工科大学に設置された「European 4.0 Transformation Center=E4TC」視察の紹介、実際、この産学連携の取り組みに参加しているPTC社の飯田氏からE4TCの具体的な紹介とその取組みについて、ベッコフオートメーションの川野氏からは、ベッコフの産業向けIoTの取り組みや「モノづくり」におけるAI(深層学習)の活用について語られ、最後は「日本の産業界はIoTでどうイノベートとしていくべきか」について、登壇者によるパネルディスカッションが行われた。

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IoTNEWS代表 小泉 耕二氏

冒頭、IoTNEWS 代表の小泉氏より、「本セミナーでは、登壇者との質疑応答や、オープンパネルディスカッション、セミナー終了後の懇親会を通して、登壇者とだけでなく、セミナー参加者同士でもコミュニケーションをとっていただきたい。
IoTではモノ同士だけでなく、関わる人通しが繋がっていくことが非常に大事であると考えているので、是非、このセミナーを機に、次のビジネスチャンスを作って頂きたい」と挨拶があった。

今回のセミナーは有料セミナーであったため詳細なレポートは控えさせていただき、ポイントだけ紹介させていただく。

ユーザーのIoT支出額をユースケース別に分解:企業が取り組むべきポイントとは?

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IDC Japan Market Analyst, Worldwide IoT Team 鳥巣 悠太氏

IDCの鳥巣氏からは、IDCが発行する「IoT Spending Guide」の一部を活用し、IoTが利用されるユースケース別のIoT支出額を日本と世界の比較、2015年と2020年の比較による予測が紹介され、データを通して世界から見た日本の特徴性と方向性のヒントが紹介された。

また、IDCの提言として2つ述べられた。

①「IoTは慎重になり過ぎると失うものも大きい。「Fail Fast」の精神を大切に、競合他社よりも先に多くの失敗を繰り返す事が成功への近道に」

日本企業は、費用対効果や成功事例を気にして、IoTの導入に対して慎重な企業が多い、そもそも新たなチャレンジとしてのIoTであり、日本企業は非オープンに水面下で動いているケースも多く、慎重さが大きなリスクになると述べた。

②「ITベンダーの「顧客」から「IoTパートナー」になる以上、企業は会社全体としてITベンダーと対等な関係性を築き、ビジネスを協創することが重要に」

これからは、IoTのパートナーリングが非常に重要で、企業はITベンダーを従来の主従関係からパートナーとして位置付け、互いに厳しく意見をぶつけ合って、新しいアイディアをどんどん作って、実際に試してみる。そうして新しいビジネスを生みだすことが重要だと述べた。

ドイツIndustrie4.0 ビジネス視察レポート

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株式会社ウフル 上級執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子 知礼氏

ウフル八子氏は、政府、大学、企業などから20億ユーロの投資により立ち上がったドイツのアーヘン工科大内の共同開発センター内にある共同プロジェクトE4TC(European 4.0 Transformation Center)の紹介と、その視察から、いくつかの見解を述べられた。

E4TCは投資額も設備もIoTの分野では日本には例がないほど大規模なものであるだけでなく、E4TCではフレームワーク(Digital Business Transformation Architecture)がきちんと定義され、物理的に推進するためのプラクティスが整備されているのはもちろんのこと、このフレームワークのもと実際にビジネスまでに落とし込まれ、厳しい運用がされているとのことだ。日本ではフレームワークは定義されていても、ここまできっちりとはめて実施しているところまではできていないのではないかと感じているとのことだ。

また、視察を振り返り、「ドイツのIndustrie4.0は、もはや製造業だけの取り組みではなく、ドイツ全体ではさまざまな産業への展開が始まってる。また、非自動車メーカーが、全く新しい自動車を創るという取り組みからわかるように、これは生産性改善だけの取り組みでもない。」と述べた。

また、日本の取り組みが遅れているかについては、個々のワーカーや設計者達の持つノウハウや、やっていることは圧倒的に進んでいると考えるが、デジタルとアナログの融合の環境を作っていく部分では圧倒的に遅れていると感じており、それを解決していくためには、安く試すことができる環境が整ってきている今「早く新たなIoTの試みを取り組み」、いろいろな会社と組むことで横との広がりを行い、イノベーションを目指すべき、また夢のある取り組みを目指すべきだと述べた。

アーヘン工科大の取り組みと産学連携事例紹介、欧州産業標準化の取り組み

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PTCジャパン株式会社 自動車プロジェクト統括本部 部長 飯田 浩二氏

PTCジャパンの飯田氏からは、E4TCの詳細について紹介された。

アーヘン工科大学では、Sustainable Energy、Photonics、Heavy Duty Drives、Smart Logistics、Production Enginering、Bio-Medical Engineringなどのクラスタにおいて産学連携の取り組みを推進しており、この産学プロジェクトを通して1万名の雇用が創出されたという。

そして、Smart Logistics(スマートロジスティクス)クラスタでの実績として、E4TCからの初のスピンオフで、DHLの子会社となったSTREETSCOOTERの事例などが紹介された。

E4TCでは、企画、設計、検証、生産、運用、サポートの業務ライフサイクルを市販ツールでカバーしており、それぞれの工程に60のベストプラティクスを組み込んだインダストリーシナリオを実開発データを使用したデモ環境で体験することができる。

飯田氏は最後、アーヘン工科大のE4TCは、限界費用ゼロ社会の実現を目指しているということ、産学連携の考え方として、オープンな参画を促しながら目標を達成させ、タイムリーかつ長期コミットをベンダーに要求していると語った。また、E4TCのクラスターは人材や・産業の育成がミッションであり、IP(知財)の蓄積は研究所やベンダーが追及していくという部分が明確になっていると述べられた。

ベッコフの産業向けIoTの取り組みについて

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ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長 川野 俊充氏

Industorie4.0に実際に参画しており、ドイツに本社を置くベッコフオートメーション株式会社の川野氏からは、ベッコフの技術、取組みや「APP Store for Machines」という考え方について紹介された。

また、ドイツインダストリー4.0プラットフォーム事務局が「インダストリー4.0」のさらなる実現のためにまとめられた「インダストリー4.0実現戦略」の中の一つをハイライトとして、サイバーフィジカルシステムの実態と言われている「インダストリー4.0コンポーネント」いう概念について紹介された。これは、製造の現場にある、工作機やロボットなどの様々な装置を、管理シェルと言われるいわゆるラッパでくるむことで、メーカーも種類も違う機械を一つのオブジェクトとして扱うことができるようにするという考え方だ。このような、コンポーネントとして繋げることができる標準化が進んでいくと、工場の機器がまるで、パソコンにプリンタを接続してすぐに使えるようになるように、工場の機械もIT周辺機器と同じになるだろうと述べた。

また、新たな取り組みとして、例えば、職人による微妙な工作機の設定値など、”職人のアナログなノウハウ”をデジタル化して、このような暗黙知を共同化し、さらにこれら集合体を深層学習を使ってさらなるノウハウに育てていくことで、自社で利用し「稼働効率」や「予知保全」に生かしたり、機械や装置の自動調整に利用したり、さらに外販したりすることができる「ノウハウのマーケットプレイス」を作り出せる可能性があるのではないかと考え、実際に取り組んでいる「APP Store for Machines」という考え方について紹介があった。

パネルディスカッション 日本の産業界はIoTでどうイノベートしていくべきか

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最後、パネルディスカッションでは、IoTの取り組みに対する日本とドイツの違いについて、さらには、日本の産業界はこれからどうイノベートしていくべきかについて講師陣それぞれの立場で語られ、議論が繰り広げられた。

工場のFA化とIT化の違いについてや、日本のIT支出部門とIoT支出部門の違いからの問題提起や、日本企業の組織構造の課題からのこれからの在り方、さらにはイノベートをしていくためには、失敗を恐れずトライを繰り返す重要性やパートナリングについてなど、様々な観点から30分を超える議論が行われ、3時間半を超えるセミナーが締めくくられた。

また、セミナー終了後の懇親会には、セミナー参加者の半数近くが参加し、講師だけでなく参加者同士で有意義なコミュニケーションが行われた。

【関連リンク】
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