ルネサス、産業機械へのLinux環境の導入を容易にする「RZ/G Linuxプラットフォーム」を開発

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、産業機器にHMI(Human Machine Interface)機能を搭載する際の組み込みLinux環境導入の容易化と、産業分野の製品開発およびメンテナンスにかかる総費用を低減するLinuxプラットフォームソリューション「RZ/G Linuxプラットフォーム」を新たに開発した。

RZ/G Linuxプラットフォームは、動作検証済みLinux標準パッケージとして、Linux、マルチメディアミドルウェア、GUI(Graphical User Interface)、セキュリティなどを含み、クラウド上でのビルド、検証、解析を行う開発ツール群と、ソフトウェア・アドオンにより機能の拡張が容易になる動作検証済みミドルウェアを提供する。また、プラットフォーム対応RZ/Gプロセッサをラインアップし、プラットフォーム対応ボードも各種提供する。

これら5つのコンポーネントから構成されたRZ/G Linuxプラットフォームをワンストップ、ワンパッケージで提供することで、ユーザは組み込みLinuxを導入する際の開発環境を容易に整えることができ、またその後の開発も容易化し、開発総費用を低減することができるという。
 
現在、産業分野では、ユーザビリティを向上させるため、動画を使った操作ガイダンスなどの表示や、スマートフォン、タブレットのような直感的に操作が可能なGUIの搭載が進んでいる。また、工場内のシステム効率の向上を目指して、個々の機器がスタンドアロンで動作する環境から、ネットワーク機能を搭載して互いにデータや作業の連携をしたり、クラウドと接続したサービスの構築も進んでいる。それに伴い、リアルタイムOS環境から、マルチメディア処理やネットワーク機能などの基本的なソフトウェアが豊富に揃っているオープンソースのLinux環境への移行を検討するユーザが増加してきているという。

しかし、これまでリアルタイムOS環境で組み込み機器の開発を行ってきたユーザの場合、Linuxに関する技術の習得や開発環境の準備などが、Linux環境導入への大きな障壁として立ちはだかり、実際にLinuxを導入した場合、各種ソフトウェアを組み合わせたシステムの検証や、それらのバージョン管理や定期的なメンテナンスなども必要となるため、ユーザの負荷とコストが増大する。

ルネサスは、Linux環境の導入を容易化し、かつ総費用を低減するソリューション、RZ/G Linuxプラットフォームを提供し、競争力のある付加価値の高い組み込み機器の開発をサポートしていくという。
 
「RZ/G Linuxプラットフォーム」の特長は以下の通り。

安定動作環境の早期構築とメンテナンスコスト低減

ソリューションの基本となるLinux標準パッケージは、Linux BSP、マルチメディア(H.264コーデック、3Dグラフィックス)、GUI、セキュリティから構成されている。このパッケージは、ルネサスが動作検証、バージョン管理を行うため、ユーザは常に安定して動作するソフトウェアの入手が可能で、全てのバージョンにおいて所定のパフォーマンスで動作するようにチューニング、検証されている。GUIはQt5.6を採用し、Qtの動作検証は株式会社SRAに協力している。

このパッケージは、産業機器向け操作パネルや、マルチ画面モニタを簡単に実現できるソフトウェア構成になっており、サンプルアプリケーションプログラムを含めたリファレンスも、合わせて提供される。
 

各開発ツールにより、ソフトウェア開発費用の低減が可能

クラウドからワンストップでLinux標準パッケージと「ビルド」「検証」「解析」の各開発ツールを提供することにより、ユーザのLinux開発環境構築工数は、ほぼゼロになる。各ツールはルネサス統合開発環境e2 studio上でリアルタイムOS開発と同様の感覚で操作できるため、Linuxに不慣れなユーザでも簡単に開発に適応できる。本ツールを使用することにより、ユーザは、Linux BSPのカスタマイズ作業、システム検証によるデバッグ(問題解析)の開発工数を40%以上削減することが可能。
 

Linuxに不慣れなユーザでも簡単にビルド可能

ビルドツールは、従来のソースファイル単位のビルド設定から、機能単位のビルド設定に変えたことにより、Linuxに不慣れなユーザでもカスタマイズしたLinux BSPやミドルウェア、アプリケーションも機能追加したうえで、簡単にユーザの仕様に合わせた機能組み合わせビルド設定が可能である。

また、機能単位のビルド設定は、ユーザの変更ミスを防ぎ、ビルドエラー発生を抑制するため、ビルドのイタレーション回数を削減する。
 

Linux BSPからGUIまでの検証

検証ツールは、Linux BSP、マルチメディア、3Dグラフィックス、Qt、セキュリティを動作検証するために2,000以上の検証パターンを実行する。また、ユーザの製品基板に合わせて検証パターンを選択することができ、ユーザが作成した検証パターンの追加ができることにより、カスタマイズしたLinux BSP検証やシステム検証の工数を40%以上削減可能という。
 

ソフトウェア開発における問題を自動的に解析

解析ツールは、検証ツールのエラーレポートから、当社が実施してきた問題解決ノウハウのデータベースを自動的に解析して原因と対応策の候補リストを出力する。ユーザは、候補リストから合致する解決策を実施することにより、デバックにおける解析工数を削減するとともに、ソース改修と検証のイタレーション回数を削減する。
 
なお、これらのツールの安定動作に向けて、ルネサスはクラウドサーバには日本マイクロソフト株式会社のMicrosoft  Azure を採用、RZ/G Linuxプラットフォームのクラウド開発環境整備および、運用ではソフトバンク・テクノロジー株式会社とミラクル・リナックス株式会社に協力を受けている。
 

ユーザの開発する機器の機能拡張が可能

ソフトウェア・アドオンにより機能の追加が容易になる、RZ/G Linuxプラットフォーム上での動作を検証されたミドルウェア群を提供。ユーザは、ビルドツールで動作検証済みミドルウェアを容易に組み込むことができ、検証ツールで動作確認が可能。これらにより、ユーザのインテグレーションにかかる開発コストと検証コストを低減しつつ、新しい機能を追加し、製品の価値を高めることに注力できる。

現在、ソフトウェア・アドオンとしては、NEC(日本電気株式会社)の「NeoFace」(顔検出/顔照合エンジン)、NECソリューションイノベータ株式会社の「FieldAnalyst」(性別・年齢自動推定システム)、図研エルミック株式会社の「Ze-PRO IPmon」(ネットワークカメラモニタリング用ONVIFプロトコル)および「Ze-PRO RTP」(同RTPプロトコル)のミドルウェアが、ソフトウェア・アドオンとしてプラットフォームに対応可能である。さらに産業分野向けに、acontis technologies GmbHのEtherCAT Masterプロトコルに加え、映像の歪み補正機能、物体認識、SSL通信などのミドルウェア群もパートナ各社と開発しており、今後順次公開予定。
 

プラットフォーム対応RZ/Gプロセッサをラインアップ

現在発売中のマイクロプロセッサRZ/Gシリーズをベースに、ネットワーク接続に伴うセキュリティ機能(セキュリティ通信、データ保護、プログラム保護)を強化した「RZ/G1H-PF」、「RZ/G1M-PF」、「RZ/G1N-PF」、「RZ/G1E-PF」の4品種を新発売。

CPUコアにARM Cortex-A7とCortex-A15、ルネサス独自のフルHD対応動画コーデック、3DグラフィックスコアとしてImagination Technologies LimitedのPowerVRを搭載し、マルチメディア処理、高度なグラフィックス処理などの基本的な動作に加えて、ソフトウェア・アドオンで提供する各種機能に対応する処理性能を持つ。
 

対応ボードをパートナー各社から提供予定、量産にも対応可能

RZ/G Linuxプラットフォーム対応の評価ボードは順次パートナ各社から提供予定。現在、アイウェーブ・ジャパン株式会社、株式会社日立超LSIシステムズ、株式会社アルファプロジェクト、シリコンリナックス株式会社が評価ボードを開発中。これらのボードは評価だけでなく、ユーザが量産する製品にそのまま組み込んで使用することが可能。したがって、ユーザはノウハウの必要な高速メモリインタフェース設計や基板製造の投資を行うことなく、短期間に市場へ新製品を投入することが可能。

【関連リンク】
ルネサス(Renesas)

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