月額8,000円の映像解析サービス「アロバビューコーロ」 -アロバ CEO 白砂氏インタビュー

IoTを活用し、店舗の解析ができるソリューションが増えてきている。いわゆるGoogleアナリティクスのようなデータ解析がリアル店舗でも可能になるサービスだが、小売業が様々なIoTソリューションを比較する際に、毎月発生するコストは非常に重要なポイントになるだろう。今回、月額8,000円で店舗解析IoTソリューションを提供している、株式会社アロバ 代表取締役社長 白砂晃氏に話を伺った。

 
-御社について教えてください。

株式会社ルクレ(株式会社アロバの親会社)が10年前に立ち上げた、監視カメラをデジタルで管理するソフトウェアの開発・販売事業「アロバビュー」がありました。近年、監視カメラ市場が成長しており、アロバビューの事業も更に成長を加速させるために15年5月にルクレから分社化し、7月に株式会社フォトクリエイトから資本4億9千万を入れて、現在の形になりました。

私はアロバに出資したフォトクリエイトの代表取締役会長を務めており、2002年1月に私がフォトクリエイトを創業した際、ルクレ社長の池田さんにエンジェル投資家として出資していただいた間柄で、今でも私のメンターをやってもらっています。

月額8,000円の映像解析サービス「アロバビューコーロ」 -アロバ CEO 白砂氏インタビュー
左:株式会社アロバ 代表取締役社長 白砂晃氏/右:IoTNEWS代表 小泉耕二

 
アロバビューについてもう少し教えてください

VMS(ビデオ・マネジメント・ソフトウェア)は数十億程度の市場ですが、その中では国内シェアナンバーワンです。われわれの強みは何かと言うと、マルチベンダーに対応していることです。

通常は様々なメーカーに対して1個のソフトウェアなのです。ところが、例えば暗いところから明るいところ撮りたいというと、そこの明るさを考慮して自動で補正できるようなカメラが必要になります。それはあのメーカーが強いですよ、真っ暗闇で撮るのはあのメーカーが強いですよ、など、そういった場合には複数のメーカーにわたってカメラを設置するケースが意外と多いのです。

その機能ごとに分けて設置すると、それぞれの必要に応じてソフトウェアを使い分けてこなさなければいけませんが、弊社の場合はマルチベンダーに対応しているのでアロバビューで全てのカメラを管理することができます。

 
-最近始められたアロバビューコーロについても教えてください

フォトクリエイトからの出資経緯からお話しします。フォトクリエイトはプロカメラマンの撮影手配と、撮影した写真を被写体向けに販売している会社で、例えば東京マラソンなどの大規模なマラソン大会は全国で9割くらいの市場シェア持っています。そのマラソン大会のゴール付近で、シューズメーカーの方が写真を撮っていて、何をやっているのかなと思ったら、入ってくるランナーたちがどこの靴のメーカーを履いているのかをチェックしているのです。弊社はどういったランナーが何を履いているのか、型番は何か、どういうもの着ているのか、ということまで完全にわかるので、そのデータを売り始めたのです。

写真は本当にマーケティングデータの塊だと考えている時に、動画って要は1秒間に30コマの写真の集まりですので、その解析が自動でできるようになったら、そこから得られるマーケティング情報は相当あるのではないかという話になりました。これが出資の経緯でもあります。

月額8,000円の映像解析サービス「アロバビューコーロ」 -アロバ CEO 白砂氏インタビュー
株式会社アロバ 代表取締役社長 白砂晃氏

もともと多くの店舗は既に監視カメラが設置されており、防犯用途で店内を撮影していますが、これまでは、来店客が30代男性なのか40代女性なのか店員さんが感覚で判断したり、ポイントカードなどで分析したりしていましが、それは購買した場合にしかわからないことでした。

結局、Google アナリティクスのような購買前のデータは取れていないので、それの代わりとして監視カメラが使えるのではないか、という話になり「それは面白いからやろう」ということで映像解析サービス「アロバビューコーロ」が誕生しました。

 
-はじめから小売企業を見ていたのですね。

そうです。Googleアナリティクスに変わるものが、リアル店舗で絶対必要だと思っていますし、それができる近いところにいるのであればやろうという事です。現在、月額8,000円から導入できる映像解析サービスとして展開しています。監視カメラ録画システム「アロバビュー」に「コーロ」を付けて「アロバビューコーロ」です。コーロというのはエスペラント語で『心』という意味です。

 
-エスペラント語?

エスペラント語というのは、宗教などに関わらない中立的な言語です。『心』という意味にしたのは、このシステム使うと、人の心を解析できるからです。人の感情は8感情に分類でき、悲しみ・怒り・驚き・喜びなどという分析をかけるのですけど、そうすることによって場の空気を数値化できる、それがアロバビューコーロの仕組みになります。

今、導入頂いているサマーランドの事例ですと、他の小売店のデータに比べて、3倍の笑顔を検知しています。怒りがとても少ないのです。驚きや悲しみも少しありますが、圧倒的に笑顔が多いのです。

あとは当然、男女分析・世代分析で、どういった世代の方が多くいらしているかという事を解析していきます。そうする事によって、販促チラシやCMが、どのくらい狙ったターゲットに届き、来場しているのかがわかります。

アロバビューコーロ
株式会社アロバ 代表取締役社長 白砂晃氏。アロバビューコーロでは、このように笑顔のパーセンテージや、性別、年齢などが表示される

 
-なるほど。アロバビューコーロはリアルタイムで、撮りながらわかるという事ですよね?

そうです。MicrosoftのCognitive Services(コグニティブ・サービス)で解析をかけて、解析結果をアロバビューコーロにフィードバックさせて表示するという仕組みです。Power BIでは解析結果をグラフ化することが可能です。

 
-どこまでを御社で作るかを見極めているということですね。そういう意味では、クラウド側の作りがわりとサクサク進みそうなイメージが湧きました。

そうですね。被写体の人数が多ければ多いほど、サーバーサイドの解析のCPUパワーが必要ですが、千人くらいであれば小型のスティックPCで可能です。スティックPCにSIMを繋げて、そこからデータを送るため、今はソラコムのSIMを利用しています。

取引先によっては、イベント会場に来ている方のデータを解析したいというニーズがあるのですが、その場合はあとから検証用にデータの結果が欲しい、ということなのでリアルタイム性は必要ありません。そういった場合にはわれわれの方で、ローカルサイドで画像データだけ溜めておいて夜に電送するという工夫をしています。

また機械学習の基礎研究を自社でやるとなるとリソースがかかりすぎます。つまるところGoogleやMicrosoft、IBMやAmazonなどの大企業がプラットフォームを作るのではないかなと思っていて、それら大手のサービスと自社のサービスをどれだけ繋ぎ込めるかということが最先端の領域では重要だと思っています。繋ぎ込んだ後、どれだけビジネスとして確立できるか、です。
アロバビューコーロでいうと、撮る時にどれくらいの画角で撮るのか、どのカメラでどういう映像を送るのか、どのタイミングで切り取るかなどを設計していくと、より正値に近いデータが出るということもわかってきています。

他にも顔認証でリピーター判定をしているのですけど、そのリピーター判定した時の閾値をどこに置くとか、そういう事も重要になります。それによって本当にほぼ正解データに近い近似値が出るのか、それとも全く関係ないデータになるのか、そういった判断がビジネスとして成功できるかの分かれ目になります。

月額8,000円の映像解析サービス「アロバビューコーロ」 -アロバ CEO 白砂氏インタビュー
IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-画像解析はデータがコモディティ化されてしまうので、その先をやった方が絶対にいいと思います。

ですので、当社としてはどういう戦略かというと、月額8千円でより多くの方に使って頂きたいと思っています。

 
-やはりまだ多くの人に知られていないと思います。

これからなので、チャンスだらけです。現在お声がけが多いのは、広告代理店です。「今まで誰が見たか全然わからなかったが、これならわかる」と興味持って頂けています。

 
-あと小売のウィンドウなどですよね?

そうですね。興味深くその前に立ち止まる人が何人いて、その人たちが実際店舗に入ったとか、そういうデータが取れるようになってくると面白いです。

 
-今後はどう展開されていくのでしょうか。

例えば、デベロッパーは店舗を出店する際に不動産価値を調べる必要があり、そのためにその場所での交通量や人物属性を調べますが、これまでは社員10人がかりで1週間ベタ張りで調べていたそうです。しかしアロバビューコーロがあれば、人が調べずに済みます。このように、まずは使ってもらえるところにどんどん営業していこうと思います。

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-本日はありがとうございました。

【関連リンク】
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