電通国際情報サービス 、IoTによるバス安全運転支援システムを共同開発

株式会社電通国際情報サービスは、大阪電気通信大学、京都産業大学、京都大学、株式会社社会システム総合研究所、みなと観光バス株式会社と共同で、IoT によるバス安全運転支援システム(以下、本システム)を開発した。2016 年 12 月から 2017 年 1 月にかけて、営業稼動する 30 台の路線バスに本システムを適用する実証実験を行う。

本システム開発の背景と概要

本システムは、大阪電気通信大学、京都産業大学、京都大学、株式会社社会システム総合研究所が、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の委託を受けた「走行車両からのセンサデータを収集・処理するための階層化クラウドとその応用に関する研究開発」の取り組みの一環として開発するものだ。

近年、運転手の健康上のトラブルに起因する交通事故の発生が社会の大きなリスクとなりつつあるが、これまでの安全運転支援システムは、車両の挙動のみに焦点を当てるものが一般的だった。本システムは、車両の走行状況に加え、運転手の健康状態もセンサによる計測・蓄積・分析の対象とする。さらに、それらセンサデータと、道路の形状/勾配/整備状況など道路情報を組み合わせた分析を行うことで、車両の危険状態をより細やかに検知することを可能とする。本システムが危険と検知した場合、運転手にすみやかにフィードバック(視覚による警告)を行う。

本システムの3つの特徴

① 多種多様なセンサを設置 車両に設置したセンサにより、車両の位置情報のほか、加速度、車速、エンジン回転数、累計走行距離、ブレーキの操作状況、冷却水温度等の情報を収集する。運転席の背面に設置した非接触の生体センサでは、運転士の心拍数や呼吸状態を計測する。

② 運転事例データベースとの連携による危険察知 センサから収集されたデータは、道路 20m(交差点付近は 5m)ごとの車線数、歩道整備状況、勾配、道路縦断線形などの道路情報と組み合わせて、「運転事例データベース」としてクラウド上に蓄積される。リアルタイムデータとマッチング解析を行うことで、過去の運転状況との比較による危険状態の検知や、事故発生リスクの高い地点の検出を行う。

③ 階層化クラウド型通信システム 本システムは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運用する大規模スマート ICT サービス基盤テストベッド JOSE(*)上に開発されており、通信およびデータ処理は、求められる反応速度や保持すべきデータの要件にあわせて、階層化した構造の各レイヤで最適に行われる仕組みとなっている。運転事例データベースとのマッチングが必要な処理には車両とクラウドを結ぶ通信を行う一方、緊急時のリスク判断・警告等の処理は、エッジコンピューティング技術により、車載の IoT デバイスが単独で行えるようにしている。

ISID の役割

本システムにおいて、ISID は運転手に最も近い位置で速やかに情報を処理するIoTデバイスの開発を担当しています。開発にあたっては、同社が 2016 年 9 月に資本・業務提携した株式会社 XSHELL の IoT プラットホームサービス「isaax(アイザックス)」を活用しました。isaax により短期間でのIoTデバイス開発を実現したほか、システムを車両に設置した後でも遠隔地から IoT デバイスのプログラムを用意に変更することが可能なため、運用にかかる負荷の低減も実現している。

実証実験の概要

期間:2016 年 12 月~2017 年 1 月
対象:みなと観光バスが運行する 30 台の路線バス
地域:神戸市周辺
目標:合計 6 万キロ以上の実証走行

ISID は、今回の実証実験で得られる知見を元に、将来的には自動運転技術への適用を見据えた、本システムの改善活動に協力していく。

(*)JOSE(Japan-wide Orchestrated Smart/Sensor Environment) は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運用する大規模 IoT サービス
の実証ができるセンサ・クラウド基盤で、専有利用・カスタマイズが可能な大規模ネットワーク・サーバ設備、設置が容易な無線センサ設備、および、
実環境のセンサデータが利用可能なオープンテストベッドです。

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