2017年上期における、IIoTの動きまとめ

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2016年に話題になった産業用IoT(アメリカではIIoT、ドイツでIndustrie 4.0という用語が使われている)はコンシューマ用のIoTに比べると、コスト削減や生産性の向上などの分野で、大きなメリットをもたらすことがすでに明らかになっている。

昨年、Industrie 4.0やIIoTが数多くの展示会やカンファレンスで話題だった。一方で、企業がデジタル化の重要性を認識しているにもかかわらず、積極的に投資する企業が少ないという事実がある。

現在のIIoTの事例のほとんどが稼働監視や予知保全のソリューションだ。また、OT(Operational Technology:運用技術)とITを統合するためには両方分野の知識、さらにセキュリティに関する知識が必要である。しかし、このような知識をすべて持っている人材が限られているため、コンサルティングサービスの需要が高い。

最近の傾向では、ソリューション・ベンダーやシステム・インテグレーターを始め、IIoTソリューションを展開している企業が積極的にパートナーシップを結んで、独自のソリューションに他社の製品や機能を取り入れることでフル・サービスプロバイダを目指している状況だ。

最近のパートナーシップ例としては、Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)とAccenture(アクセンチュア)の5年間協力協定、ABBとIBM、Huawei(ファーウェイ)とGE, PTCとマイクロソフト, SAP とMitsubishi Electric Europe , SAPとKUKA などである。

市場でシェアを確保しようと、大手企業が世界各国でパートナーシッププログラムを展開しているIntel IoTソリューションズ・アライアンス、GE グローバルアライアンスプログラム, 三菱電機e-Factoryアライアンスパートナープログラムなどもある。

この統合傾向が今後も続くと、将来的には規準となるプラットホームが出てくるのかもしれない。

また、IIoTの最大課題は、セキュリティと総合運用性・標準不足であるが、今年中にこれらの対策ソリューションが現れ始めるのではないかと期待されている。

セキュリティの問題は、設備がハッキングされた場合、損金を始め、命に係わる事故が発生する恐れがあるため、かなりのハードルになっている。 また、ITのライフサイクルが早いため、先進的なITソリューションをレガシーシステムにどうやって繋げるかも、課題になっている。

標準化については、産業設備の接続に使うべき規格がまだ決まっていないため、企業が将来どのソリューションが使えるかわからず、様子見している企業も多い。

また、産業ネットワーク用Ethernetや通信TCP/IPが広く採用されたにもかかわらず、OTやITソフトウェア・アプリケーション分野では未だに相互運用性ができてない。

このようなハードルを乗り越えるためにいくつかのソリューションが存在する。

Node-RED はエッジコンピューティングとして、産業用制御装置などをクラウドサービスに接続するオープンソースビジュアル接続ツールである。

Node-REDを使うことで、IIoTアプリケーション開発者が既存のソフトウェアコードを使用し、エッジデバイスを直接独自のアプリケーションに取り入れることができるのだ。

MQTTはpublish/subscribe アーキテクチャーを使ってデータを送信するプロトコルである。

IIoT用途においては、オープン標準や遠隔通信あるいは安定してない接続やファイアウォールで保護されているデバイスとの通信の場合も使用可能である。

IIoTの採用によって期待される利点は、効率化と最適化だけではなく、長期に供給が需要に見合う経済を作り上げ、廃棄物ゼロの社会を作り上げることだ。

産業向け展示会であるHannover Messe2017においては、予知保全ツールの他、デジタル・ツインデザインのサービスを提供している企業が増えた印象がある。

例えば、BoschのRexroth、GEのPredix、SiemensのMindSphere、DassaultのDELMIAなどがそれだ。

デジタルツインとは、物理的な設備などの資産をデジタル上にコピーしたモノであり、その設備のすべてのプロセスをデジタルでシミュレーションし、リアルタイムステータスや作動状態管理を可能にするものだ。

ほかにも、産業向けIoTに関する発表は、多い。

SAPはLeonardo IoTのDistributed Manufacturingという新しいアプリケーションを発表した。同アプリケーションは3D技術を工場環境に統合し、デザインや調達チームが3Dプリンティングサービス・プロバイダーとの効力できるようになった。

IBM はCognitive Visual InspectionというWatson IoT関連ソリューションを発表し、ある製造の現場では、品質検査の時間を8割まで削減可能になったという。

また、データ処理やAIはエッジで実施される傾向が続いていて、DellとLinux Foundationは一般IoTエッジコンピューティング・フレームワーク開発のためにオープンソースソフトウェア・イニシアティブとなる、EdgeX Foundryを公開した。EdgeX Foundryはルーター、ゲートウェイ、サーバーなどのエッジデバイスで稼働するプラットホームにとらわれない産業用柔軟なソフトウェアとして開発された。

セキュリティ分野でスイスのWiSeKeyは接続されているデバイス用のデジタル公開鍵暗号基盤(PKI)証明書を提供しているフレームワークWiSeKeyIoTを紹介した。

このフレームワークが認定シリコンチップによって保護されており、デバイスライフサイクル管理を含めている認定書管理システムを提供している。

マイクロソフトはAzure IoT suite関連の新しい製品Connected factoryを紹介した。

Connected factoryは現場のOPC unified アーキテクチャーとOPCデバイスの接続をマイクロソフトクラウドで促進するソリューションであり、クラウドからインサイト取得、安全な閲覧やデバイス設定を可能にしている。同時に、マイクロソフトがTime Series Insightsという完全に管理されている分析・ストーレジと見える化サービスを展開した。

GEデジタルは産業用予測クラウドで稼働するメンテナンス・ソリューション開発のためファーウェイと提携した。ファーウェイの Edge Computing IoT とGEの クラウド型産業用プラットホームを統合することで、素早い産業資産とクラウドアプリケーションの接続・機械管理やデータ分析サービスを顧客に提供することを狙っている。

シスコは3つ新しいIIoT関連製品を紹介した。IoTインテリジェンス用のコネクテッド資産管理(CAM)ソリューションは様々な資源からデータを抽出し、あらゆるレガシーシステムからの複数データスレッドを統合する。Industrial Network Directorは工場の全体ネットワークを管理するソリューションである。また、シスコの産業用 IE4000スイッチタイプはセンシティブネットワーキングに対応するようになり、データを保護しながらネットワーク上で動いてる重要なアプリケーションのスムーズな稼働を確保する。

フランスのSchneider ElectricはAccentureとの提携でDigital Services Factoryを開発した。このソリューションは製品開発過程での構想から製造までの期間を3年間から8か月までに短縮することを目指している。Digital FactoryはSchneider Electricのインフラストラクチャーや顧客工場の何百万ものコネクテッドデバイスのデータを収集し、新しい産業IoTサービス開発を促進する。

この協力は産業IoTやデジタルサービス展開をサポートする目的で2016年に両社で結ばれた5年間契約に含まれている。

産業IoTは共同イノベーションによって促進されると台湾のアドバンテックは、考えている。そのため、2017年5月にiFactory SRPオープンプラットホームを独立系デベロッパーに公開した。

PTCが提供しているKepwareという産業通信用のソフトウェアはマイクロソフトAzure Cloudと統合可能になった。KepwareのKEPServerEXソフトウェアは産業制御装置からAzure Cloudプラットホームにデータを移動できるようにアップグレードされ、産業環境でIoT資産の接続や管理をもっと効率的に実現する。

SAPは SAP Cloud Platform展開拡大を目指し、三菱電機とKUKA AGとのパートナシップを発表した。SAPは三菱電機のe-Factory Allianceパートナープログラムに参加することが発表された。

5月2017年に、エリクソンとマイクロソフトが提携を発表し、Ericsson IoT AcceleratorをマイクロソフトAzureに繋ぎ、Azureのクラウドを通して、企業を直接エリクソンのDevice Connection Platformを利用しているモバイルオペレーターのエコシステムにつなげる仕組みだ。

また、様々な分析をエッジ側で行う傾向が強まってきている。そのため、エッジでEthernet、ワイレスやセルラーゲートウェイ、Ethernet スイッチやルーターやRaspberry Piのような小型コンピューターの数が増えてきている。

エッジで集めたデータをフィルタリングしたりや中継をすることで、現場でデータ分析や異常検出を行い、異常があった場合、管理者にアラームで知らせて、即時対応を促すことができるのだ。この取り組みの結果、製造過程の質や生産収率を向上できる他、クラウドに送信するデータ量を削減し、コストも削減できる。

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