IoTの流れをうまく掴み、LPWAにも柔軟に対応していくセンサ企業 -オプテックス 中村氏インタビュー

防犯や自動ドアのセンサで高い世界マーケットシェアを占める、オプテックス社。グローバルでIoTが進むにつれて同社の流れが大きく変わってきているという。

FA業界への進出、LPWAへの対応などについて、オプテックス株式会社 戦略本部開発センター センター長 中村明彦氏に話を伺った。(聞き手:小泉耕二)

 
-御社について教えてください。

弊社は、世界初の遠赤外線式自動ドアセンサを開発した会社で、世界13ヵ国に拠点を構え、80カ国以上に製品・サービスを提供しています。2017年1月に持株体制に移行し、現在私が所属しているオプテックス株式会社が完全に事業会社になりました。

世界のマーケットシェアで、屋外用侵入検知センサが40%、防犯カメラ補助照明が50%と防犯分野が中心でしたが、最近では、去年の5月に画像検査用LED照明のCSS社がグループに参加したことで、マシンビジョン照明の世界マーケットシェアが30%となりました。現在はセンサだけではなく照明も強い会社になっています。

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左から、Water it のマルチメータ、ViiK(車両検知センサ)OVS-01、ワイヤレス在室検知センサ CPI-J、ワイヤレスロッカースイッチ CSW-S2-J、安全運転支援サービス セーフメーター OSM-501

 
-防犯分野では、監視カメラで見るという流れがありますよね。

a&s internatioanlというメジャーなセキュリティ業界雑誌の2016年の調査結果では、われわれは14位にランキングされています。強みとしては、建物の屋内への侵入を未然に防ぐため、屋外で人を検知するセンシングに特長を出してきたことにあります。

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一方で、この発表をよく分析すると、今の流れが見えてきます。これまではHoneywell(ハネウェル)がこの業界を牽引していましたが、監視カメラ製造会社のHikvision(ハイクビジョン)とHoneywellが逆転しました。

いずれも日本人にはあまり親しみがない企業かと思いますが、グローバルで見ると大手企業が変革にある時期です。

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国内では、2020年に開催されるオリンピックにて、新しいスタイルののセキュリティを展開できるかが一つのポイントではないかと考えています。

われわれのセキュリティ向けセンサは、事前抑止ということを概念において、建物への侵入を未然に防ぐことを特長にしています。その結果、屋外向けの人感センサを早くから市場へ投入しており、グローバルにみて高いシェアを獲得しています。

また、ショッピングモールや駅、空港の設備向けにおいては、人数カウントをするセンサや、新しいタイプの自動ドアのセンサなど、画像処理によるセンサソリューションを提供しています。

ファクトリーオートメーション向けについては、物体の有無を検出する光電センサをはじめてとして、オプテックス・エフエー社から販売しています。

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昨年、画像処理用照明でトップクラスのマーケットシェアを保有するCCS社がオプテックスグループに加わったことで、センサのみならず、照明の分野で新しい展開ができるのではないかと考えています。

 
-オートメーションで行きつくとこまで行くと、人がいなくなるので、工場の電気が消えていく可能性が高いと言われています。そうするとこういう特殊な目的なの照明がもっと必要になってくるはずですので、目のつけ所がいいなと思いました。

われわれは、センサを長年やってきていることもあり、オプテックスでのIoTは、インターネット・オブ・センシングソリューション、IoSという言い方をしています。

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オプテックスのIoTは、一般に言われるビックデータを活用するスタイル、大きなストレージや大容量のネットワーク上のインフラを使って、センシングを処理していこうという概念ではありません。まずフロント部分、センサの部分できっちり処理しくこと、いわゆる、エッジコンピューティング的思想でとらえています。センサでできることはセンサで処理をおこない、センサからの出力は、本当に必要なデータを必要な分だけ伝送する、“スマートデータ”という概念でクラウドサイドに伝送することを行っています。

センサデバイスベンダーの視点からみたIoTは、これまでセンサの売り切りだったところから、データをクラウドに伝送することにより、様々なソリューション構築がやりやすくなり、いわゆるプロセスフローを回していくことが容易になってきたことが、IoTの大きなポイントだと思っています。

オプテックスが志向するIoTビジネスモデル -オプテックス センサ コネクト

3月30日に、オプテックス センサ コネクトというソリューションを発表させていただきました。

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これは、われわれはデバイスだけの提供ではなく、センシングしたデータをクラウドにあげるというところまで責任を持って進めていきます。これは、オプテックス自身が通信事業者やクラウド事業者になるわけではなく、様々なパートナー企業と協業することにより実現します。

最近のトピックとしては、LPWA(Low Power Wide Area network)というカテゴリーの通信技術です。

「LPWAのデータなんて使えないでしょ?Sigfoxの場合一回の送信で、13Byteのデータあり、その程度では、、何にも送れないじゃないですか?」とか、「双方向じゃないから使えないでしょ?」などと、否定されてしまうことが多いのですが、そんな事はありません。

オプテックスの取り扱っているセンサは、人を来たことを検知し、それをリレー出力(ON/OFF)するものが主流です。つまり、センサを特定するIDと、センサの状態をしめす情報があれば成立します。13Byteあればかなりの情報を伝えることができます。

コスト面もさることが、センサから、ゲートウエイを介さずに情報をクラウドデータに伝送できることや、通信モジュールそのものが低消費で実現することができることから、電池駆動でシステムを構築することができる。これは、従来のシステムと比べるとかなりのメリットがあると考えます。

オプテックスは今後もIoTビジネスの普及に関する活動に積極的に参加していきたいと思います。IoTデバイスベンダーとして、センシングしインプットするビジネスの展開を推進していきたいと考えています。

LPWA規格の違い

LoRaWANとNB-IoT、SIGFOXなどいろいろ発表されているLPWAですが、それぞれの特徴を理解して使うことが大事であると思います。

LPWAに関しては、無線の電波伝搬部や無線デバイスに関連する部分、変調方式等の違いを比較しているケースが多いです。特に通信距離に注目し○○kmの距離を実現したなどに関心がいきがちです。

原則論をいうと、無線の伝搬部分(送信パワー)は、日本国内においては電波法で規定しており、特にデバイスからの送信出力については、900MHz帯を利用した方式では、いずれも同じ出力です。そして、電波そのものの伝搬は物理現象に従います。技術的には、送信から受信まで全体で見たときの利得がどのくらい取れているかを見ることが必要です。それぞれの方式に多少の差はあっても、大きな問題ではないと考えます。

通信距離の問題より、ネットワークのトポロジー、ビジネスモデルに着目する必要があります。国内においては、NB-IoTやSIGFOXは基地局をネットワークオペレーターが持つスタイル。現状のLoRaは必要なところに基地局(ゲートウエイ)がおける方式であるといった点を考慮し利用することが、非常に大きいポイントと考えます。

あと、同じ基地局固定タイプでもSIGFOXとNB-IoTは通信速度が違い、画像の伝送はNB-IoTが有効ではありますが、SIGFOXから比べると消費電力が大きいかったりするなどお互いメリットデメリットがあると思います。最終的なアプリケーションを考えながら用途に合わせて使うのが大事だと思います。

各LPWAの方式は競合すると言われますが全体のビジネスモデル、システムの構築に目を向けて最適なものを選択していく必要があると考えます。いずれも、現時点の状況であり海外を見ると日本とは異なった考え方で各々を運用しているケースが数多くみられます。過渡期である今だからこそ、一つの方式にこだわるのではなくいろいろな方式を客観的に見ていく必要があると思います。

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左:IoTNEWS代表 小泉耕二/右:オプテックス株式会社 戦略本部開発センター センター長 中村明彦氏

 
-でも少なくとも、SIGFOXが規定するルールに則らなきゃいけないか、LoRaWANみたいに何も則らなくていいかという差は大きいと思います。

確かに現状あるLoRaはゲートウエイの運用者が自由における、SIGFOXはオペレータが設置した基地局固定となる一方、ゲートウエイを用意しなくていいといった違いはあります。ただ、オプテックスのようなデバイスを提供する会社や、利用するお客様の立場からみると違うと考えます。

ゲートウエイを自由における場合は、自分たちが欲しいと思ったエリアに対して、自分たちの意思でゲートウエイを設置し、サービスを開始することができるメリットがあります。基地局タイプですと提供エリア内では、ゲートウエイを自分から設置する必要がありません。提供するサービスの場所によってそれぞれを考えていくことが大切だと思います。

こちらはSIGFOXで提供されているサービスマップで、今サービスを提供している世界中のエリアを見ることができます。

SIGFOXは、2017年3月 東京23区、横浜市、川崎市、大阪市、2018年3月 政令指定都市を含む主要36都市2020年3月 全国といったスケジュールでエリア構築していくと発表されています。

実は弊社のある滋賀県もSIGFOXの通信エリアは、かなりカバーしています。琵琶湖の影響もあってか、広域で通信ができる状況にあります。SIGFOXに限らず、いろいろなLPWAを検証する場としては、最適な環境ではないでしょうか?(笑)

 
-こんなにカバレッジがあるのですね?

これは実質シミュレーションの結果を表示しているのですが、地形データなども入っていてかなりの精度が出ているようです。山がない場所や琵琶湖などは遮るものがないので遠くまで届きます。

 
-SIGFOXの利用シーン考えた時に、スマートメーターなどが本命かと思っているので、カバレッジのエリアを強めに言ってしまうと後々大変なことにならないでしょうか。

現段階で、LPWAを語っていくには、どれだけの余裕をもった無線回線の設計(設置)ができるかになります。電波の送信出力、アンテナゲイン、空間における減衰量、周辺のノイズ量、受信感度を総合的に考慮し設置を考える必要があります。

繰り返しになりますが、最大通信距離xxkm、よく飛びましたと言ってしまうのですが最大距離が重要ではなく通信を安定的に確立できるかが重要です。そのため距離と理論的なアプローチも加えつつ設置を見ていく必要があります。

例えば、自由空間(何もさえぎることがないところ)で最大1km通信ができたといったなら、実際に設置する場合は、その1/10の距離、100mで運用するといったことが実際の現場では必要になってくると考えます。

私自身、無線技術そのものを長い間やってきていますが、LPWAを決定的に成功させるのは、まず無線の基本知識だと感じています。携帯が普及した時のように基地局に対してどんどん投資がかかった時とは違って、「無線はそこまでお金をかけずに効率よく」、というコンセプトです。設置の最適化や、デバイス側の開発においては、アナログ的な無線の知識が必要になってくると思います。

実際にSIGFOXの基地局はどうなっているのか?と気になると思います。記の写真がSIGFOXのアンテナで、こういうのが1本立っているだけです。

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SIGFOXを中心に申し上げましたが、LoRaについても進めていきますし、それ以外にスマホに標準的に搭載されているBluetoothも活用してます。センサの中にBluetoothの通信機能をつけるだけで、スマホによってセンサの設定をすることができたり、センサの情報を簡単にクラウドに伝送することができます。

あとEnOceanという通信技術、3Gや4Gを活用したセンサも今後すすめていきたいと考えております。われわれは用途に合わせて柔軟にやっていきたいと思います。

続いてオプテックスの商品をいくつかご紹介します。

オプテックスのセンサ FITLINK

ISC WESTというアメリカで開催されたセキュリティの展示会にて、アワードをいただいたFITLINKという商品があります。

FITというセンサは、屋外に置ける人感センサです。家の周辺からの人の侵入を検知してアラームを出すといったような用途に使えるものです。日本国内では、このようなセンサはありませんが、海外ではよく見受けられるものです。IoTの流れをうまく掴み、LPWAにも柔軟に対応していくセンサ企業 -オプテックス インタビュー

防犯セキュリティのシステムにおいては、通常、コントロールパネルと呼ばれている装置(ゲートウエイに相当するもの)があり、その装置とセンサの間は、各社オリジナルのプロトコルで通信しています。

例えば、世界的にメジャーなメーカーの一つ、ハネウェル社のコントロールパネルに、センサをつなげようと思った時には、ハネウェル社のプロトコルに合わせた通信方式を用いないといけません。弊社の商品をつなげようと思った時は、ハネウエル社のトランスミッターをユーザー側で入れ込まなければならず手間でした。

FITというセンサそのものは、屋外に来た不審者を検知するセンサとしては、以前から販売していました。今回は、あらかじめ複数のメジャーコントロールパネルメーカーとの接続を容易できるようにした商品がFITLINKです。

スマートホーム等で先行しているUS市場において、弊社のセンシング技術とある意味オープンなシステム技術が融合することによって認められたアワードとしては、とても意味があると思っています。

オプテックスのスマートパーキング「ViiK」は、人とクルマを識別するセンサ

続いて、スマートパーキングソリューションのViiKをご紹介します。

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従来ですと、車を検知するためには車室にループコイルと呼ばれるワイヤーを地面に埋める必要がありました。弊社のViiKは面倒だった地中埋設工事が不要です。特に日本の場合は、非常に高い検知精度を求められますが、それにも対応しています。

下記は「ViiK」を紹介している動画ですが、このソリューションの一番の特長は、センサが人とクルマを識別できることです。

https://youtu.be/0n8Ud76ZLXs

このセンサには超音波と24GHzのマイクロウェーブ、の電波を使ったセンシング方式を採用し、オプテックス独自の検知アルゴリズムにより、人と車の区別ができるだけなく、精度を保ちながら簡単設置ができるというところが特長です。

 
-システムの構成はどうされているのでしょうか?

ViiKにSIGFOXの通信モジュールを搭載し、SIGFOX のクラウドから、AWS(Amazon Web service)のデータベースに渡してます。デモではありますが、データを見るソフトも弊社で作成しました。車の満空情報がクラウドベースで簡単にわかる仕組みが構築できます。そのため、料金の課金の仕組みなどと組み合わせることによっても簡単にできます。

今後の展開としては、従来のコインパーキングはもちろん、今流行りつつあるシェアリングパーキングなどにも簡単に設置できますので、例えば、空車確認や予約サービスなどの展開に弊社のセンサとして使っていただけたらと思っています。

簡易的なセキュリティサービス

ドアの開閉がわかるマグネットスイッチや、人感センサの中にLPWAの通信モジュール組み込んだ商品の方も開発しています。これを利用すると簡単に見守りのサービスができます。今までですとゲートウェイなどのコントローラの設置が必要かつコストがかかりました。LPWAのバージョンだと、センサとスマホがあればシステムを簡単に実現できます。

弊社のセンサを利用したこの手の事例として、フランスのSafeboat社の事例があります。港に停泊しているヨット等の船舶に不審者が侵入したことを検知するために、オプックスのWNXという人感センサにLoRaを搭載し、サービスをおこなっています。

LoRaゲートウェイが管理センターに設置されており、それを経由し、ダイレクトにスマホにアラーム情報が流れて、自己管理するサービスです。このように日本でLPWAが話題になる前から、オプテックスのセンサとLPWAの組み合わせでのサービスは海外で始まっています。

ビルディングオートメーション・働き方改革への応用

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EnOceanを利用したセンサ、ビルディングオートメーション用に、EnOceanの通信技術活用し、かつ、デザインにもこだわった商品を開発しました。

 
-EnOceanはどうやって動くのでしょうか。

二つの商品を用意しています。ON/OFFのスイッチと、人感センサです。

スイッチタイプのものは、押すことによって発電し、その電力を使い無線通信をおこない、完全に電池レス実現しています。人感センサのタイプは、電源をソーラーで確保しています。暗いところでも動くように、電池でバックアップも持っており、約10年持ちます。

人感センサは、天井につけて、室内に人がいることを検知して、照明や空調のコントロールなどエネルギーマネージメントに活用することを中心に開発しました。

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最近は、働き方改革の一環として会議室のマネジメントなどに使う方もいるようです。今、働き方改革として会議の効率をあげようという企業が多くなってきています。人感センサを会議室に設置し、実際に利用されているかどうかを検知し、その状態をネットを介してクラウド上に展開します。

そして、会議室予約システムと連動することによりさまざまな活用が考えられます。例えば、予約がはいっている会議室でも利用している人がいなければ自動的にキャンセルすることなどに活用していただくとよいと思います。

また、センサを机の下につけて、在席確認をする用途で使っているところもあります。

もともとこれらは、省エネをターゲットに開発した商品でしたが、働き方改革への応用も見られるようになってきました。これも一つのIoTによる効果ではないかと考えます。

オプテックスのセンサが採用される理由としては、これまで、防犯用途などに長年の実績があることです。

安いセンサだと太陽光や、空気の流れの影響などで、人がいないのに、いると誤報を起こすことがあります。防犯用のセンサで同じことが起こってしまったら、誰も居ないのに誤作動で警備員が駆けつけてしまいます。われわれのセンサはそういうことが起こらない対策がしてあります。

今までの「ちょっと試してみましょう」から、長期運用のステージになると信頼性のいるセンサが求められてきたということかもしれません。

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-御社は去年に比べずいぶん状況が変わってきましたね。

かなり変わりました。立て続けに今いろんな案件が一気に動いています。昨年までは、まずやりましょうということで、PoCを中心にIoT業界は動いたと思います。現在は状況がかわってきており、ちゃんとビジネスを考えて、IoTに取り組んでいかないといけないタイミングにきています。PoCで「ちょっと動いた、万歳!」で終わってしまうのはいけません。

IoTで大きく流れが変わった(LPWAの普及)

センサデバイスの会社としては、センサのデータをクラウドにあげるというところがこれまでボトルネックでした。データを上げるために、ゲートウエイを用意し、設定、そして、サーバー側を理解して、客先へ提案、そしてシステムインテグレーションをする。センサのハードウエアのみを商売してきた会社としてはこの点が一つの課題でした。

LPWA出現により、これまで自分たちのセンサに組み込んできた無線モジュールと同等なもので、直接クラウドに情報を上げることができるようになりました。例えば、SIGFOXだと、センサにSIGFOXのモジュールを組込み、設定のWeb画面クリックするだけで完了してしまいます。

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オプテックス株式会社 戦略本部開発センター センター長 中村明彦氏

 
-それがSIGFOXがやりすいとおっしゃった理由なのですね。

そうですね。SIGFOXのいいところは無線通信の部分だけでなく、上位とのアプリケーションとのクラウド連動も考慮されているところです。簡単な設定で、他のクラウドサービスとの連携を実現できます。

 
-大量のデバイスを管理するのに問題はありませんか?

まだサービスがスタートしたばかりで、多くのデバイスを管理する状況に至ってはいません。その点については、いろいろと実際のアプリケーションを構築するのと同時にノウハウをためていきたいと思います。欧州の方ではすでに、1千万のSIGFOXのデバイスが稼働しているといわれています。その点も我々としては理解していきたいと考えています。

SIGFOXのページにはすでに多くのデバイスが掲載されています。われわれが想定しているデバイスがもうすでに作られていて、個人的にはすごくショックで。

 
-LoRaにしてもSIGFOXにしても、もう作られているので、今デバイスがないのはNB-IoTくらいです。

NB-IoTについても海外ではサービスがスタートし始めている話もききますし、国内でも展開されることに期待しています。LoRa、SIGFOXをはじめ、センサに適した通信がいろいろとサービスされることはオプテックスにとってはチャンスと思います。NB-IoTは従来の携帯キャリアが保有している基地局が活用できると聞いているので、通信エリアが一気に広がることに期待です。

 
-どっちもどっちだと思います。LoRaだからといってもSIGFOX的な役割をする会社は存在するわけでして。LoRaだからといって、デバイス屋さんは全部自分で作らなきゃいけないわけではなく、間の企業は出てきますからTPOで使い分ければいいと思います。

京セラの黒瀬社長は、LoRaはWi-Fiであって、SIGFOXはどっちかというと4Gなどの通信だと言っていました。確かに、4Gのネットワークが充実したからWi-Fiがなくなったかと言ったら、決してそういう話ではなく共存しています。

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IoTNEWS代表 小泉耕二

 
-私は、SIGFOXの競合はセルラーだと思っています。価格の問題などは様々あると思いますが、単純に電波ということだけを考えるとセルラーも決して悪くありません。SIGFOXの基地局がソリューションのあるところ、効果の高いところを中心に立っていく可能性があると考えるからです。

ただ、セルラーは遅れているので、2020年くらいにやっと始まり、そのころようやく他のLPWAでの実証実験も終わって、いろんな通信を組み合わせたスマートシティが本格化しはじめるのだろうなと思っています。

商売ってタイミングなので、5年前からやっているSIGFOXが、必ずしも5年後もすごく優位性があるかどうかというと、ちょっと分からないなと思っています。

一方、LoRaは、セルラー届かないところで活躍すると思っていて、利用シーンも分かりやすいと思っています。

非常に面白い話題ですね。似たような話では、EnOceanがあります。一見、LoRaの仕組みにおきかわってしまいそうでうが、でもなぜなくならないかというと、理由はすごく単純でヨーロッパなどのシステムで利用されているからです。すでに数多くのビルオートメーションの機器にEnOceanのゲートウエイ機能が搭載されおりインテグレーションがしやすい状況にあったりします。

 
-EnOceanそのものが素晴らしいというよりは、壁にペタッと貼って使えるというのは、すごく画期的なことだと思います。造作時に電気工事をするのは、非常にお金がかかる話なので、それをしなくていいのはすごくいいと思います。アプライアンス製品のデザイン性とコストが重要だと考えています。

見た目も使い勝手もいいという商品を考えていくというきっかけをいろんな意味で与えてくれています。われわれはEnOcean、SIGFOX、ZigBeeなどこだわらずにやっていきたいと思っています。

このIoTの流れでそういうのが作りやすい時代になりました。センサデバイスのようなエッジに相当する機器がいきなりクラウドにつながるというのは、10年前では絶対に想像できませんでしたから。われわれにとっては非常にありがたい話です。

デバイスベンダーとして、センサそのものの開発に集中することができるようになりますし、新規開発の要素はシステムの構築そのものというより、その上位概念にあるビジネス開発に集中することができるようになってきまいた。

既存のビジネスの成長のみならず、われわれのコア技術を用いた新しいビジネスがみえはじめました。それは、IoTによって、新しいパートナーとの出会いが急速に多くなってきているからです。私たちは、IoTを活用した新しいビジネスの形を実現し、世の中に貢献していきたいと考えています。

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オプテックス株式会社 戦略本部開発センター センター長 中村明彦氏

 

-本日はありがとうございました。

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