NTTデータ、ISCAS、中国・貴陽市政府の3者、IoT/ビッグデータ分野で先進技術研究院を設立

株式会社NTTデータは、中国・アジアパシフィック(以下:APAC)地域におけるIoT等ビッグデータ活用のソリューション開発・展開を図るため、中国・貴陽市政府ならびに中国科学院ソフトウェア研究所(Institute of Software, Chinese Academy of Sciences:以下、ISCAS)と3者共同で、中国・貴陽市に「貴陽科恩ビッグデータ先進技術研究院」(以下、先進技術研究院)を設立した。

先進技術研究院では、ビッグデータやIoTの活用領域を広げる共同研究と技術実証を実施する。まずは「次世代スマート交通」、「環境系IoT」の2つを中心テーマとして設定し、共同研究・技術実証を開始する。

「次世代スマート交通」では、ディープラーニング(深層学習)等のAI技術を活用した高度な複合ビッグデータ解析による交通状況のリアルタイムでの可視化、信号制御の最適化による渋滞発生抑止や域内最適移動の実現を、「環境系IoT」では、低消費エネルギーのセンサーを活用した大気環境や水資源のリアルタイム計測と予測等を目指す。

3者は2020年までに、中国国内やAPACへ展開可能なソリューションを開発する予定だ。またNTTデータは、中国国内のグループ会社と連携して同取り組みを進めることで、将来的な中国国内でのビジネス展開に向け、AI技術やIoT関連技術などを高レベルで有する人材の育成を図る方針だ。

先進技術研究院の概要

所在地:中国 貴州省 貴陽市高新区西部研究開発基地4号楼20階
理事長:李玉成氏 ISCAS教授・貴陽信息技術研究院所長
構成人数:スタート時は20名前後を予定

3者の役割

貴陽市:ビッグデータやIoT関連技術の利用環境、および実証フィールドの提供
ISCAS:コンピューティング環境やソフトウェア技術人材、オフィス環境等の提供
NTTデータ:ITSならびにIoT関連の技術の提供

背景

中国・貴州省の省都である貴陽市は、周辺部含め現在人口約600万人で、2020年には人口1000万人に達するとされており、近年、中国国内で高い経済成長率を誇ると同時に、領域横断のビッグデータ活用を軸に新たな経済発展を進める国家モデル都市第一号とされている都市である。

また、貴陽市は環境系IoTの幅広い普及拡大と活用を前提とした5カ年計画を策定、推進するなど、ビッグデータやIoTの先進的な利用拡大に意欲的に取り組んでいる。

ISCASは中華人民共和国国務院直属の研究機関、中国科学院の研究院の一つであり、最新のコンピューター科学、ソフトウェアを研究する国立研究所として670名強(高級研究員150名強を含む)の研究員を擁している。

2016年度のACM Gordon Bell賞の受賞者を輩出するなど、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野での実績が豊富だ。

NTTデータは、ISCASとの共同研究を2014年から開始し、2016年には貴陽市政府/貴陽市交通管理局の協力を得て、貴陽市の新市街区で2度の渋滞緩和の実証実験を行った。

2016年9月の実証実験では、19交差点で東西南北20平方キロメートル強のエリアにおいて、「交差点を通過する車両の量」と「渋滞により損失する時間」という2つのトレードオフの関係にある評価指標について、双方とも平均で7%前後、最大で25%前後改善するという成果をあげている。

これらの取り組みやその成果を受け、貴陽市政府、ISCAS、NTTデータの3者で貴陽市に先進技術研究院を設立し、ビッグデータやIoTの活用領域を広げる共同研究・技術実証をさらに連携して推進することとなった。

先進技術研究院の取り組み計画

先進技術研究院では、3者共同で負担する年間1000万元の研究予算に基づき、まずは研究対象を「次世代スマート交通」および「環境系IoT」の2テーマに設定する。

研究に際しては、貴陽市が持つ複数領域にまたがるビッグデータの収集・利用環境をベースに、ISCASの有するHPC技術や先進ソフトウェア関連技術と、NTTデータの技術開発本部で開発しているITS関連のシミュレーション技術や最適化技術 、IoT関連技術を組み合わせ、IoT技術の活用推進とIoT技術等を通じて収集される複合的なビッグデータを統合的に、分析・活用する技術開発と実地実証を行う。

将来的には、中国国内の他都市やAPAC地域へ展開可能なソリューション開発を目指すという。

次世代スマート交通

  • ビッグデータによる渋滞予測の高度化と高度予測を用いた渋滞発生抑止
    現在貴陽市で取り組みが進められているISCASのカメラデータ解析技術と、NTTデータの交通シミュレーションと信号パラメータの最適化技術の組み合わせによる信号制御最適化技術をさらに進化させる。具体的には、交通状況等交通関連ビッグデータのリアルタイム状況把握・解析に基づく、リアルタイム信号制御最適化による広域の交通流の最適化、渋滞発生抑止を進める。
  • バスや地下鉄等の公共交通の利便性向上/利用率向上
    貴陽市でインフラ整備が進められているBRT(Bus Rapid Transit)やタクシー、および近年利用開始が予定されている地下鉄などに関するビッグデータの収集と分析を行う。分析結果を基に、公共交通の利便性向上、利用率向上を促す次世代の都市交通計画の策定と施策展開などを行う。
  • 域内移動最適化による次世代観光活性化
    貴陽市で収集し、ISCASで解析を行っているOD(Origin-Destination)などに対して、ディープラーニング等、AI技術を活用した分析に基づく交通流予測を行い、円滑な域内移動に関するナビゲーションや交通管制計画を策定する。貴陽市周辺における移動・周遊の快適性を高め、観光活性化を目指す。

NTTデータ、ISCAS、中国・貴陽市政府の3者、IoT/ビッグデータ分野で先進技術研究院を設立

環境系IoT

  • 貴陽市が進める、低消費電力のネットワーク技術であるLPWAを利用したセンサー群を活用したIoTネットワークインフラ推進計画と連動し、LPWA関連機器の特性や差異を確認、技術検証するためのLPWA関連のIoT関連技術検証に取り組む。
  • 大気状況、水資源等の分析予測モデルの構築
    貴陽市が進める環境IoT5カ年計画とも連動し、上記で検証したLPWA関連のIoT技術も活用し、新たに大気環境や水資源等のリアルタイム観測検証環境を構築、リアルタイムに収集、観測されるデータを活用して、リアルタイムで高精度化した大気環境や水資源の分析や予測モデルの構築を目指す。また、ブロックチェーン技術を活用した計測データ改ざん防止システムの検討にも取り組む予定だ。

NTTデータ、ISCAS、中国・貴陽市政府の3者、IoT/ビッグデータ分野で先進技術研究院を設立

今後について

先進技術研究院の研究成果については、中国国内での他都市への展開や、将来的にはAPACへの展開も目指すという。

また、NTTデータグループは、NTTデータ中国信息技術有限公司(NICT)と連携し、同取り組みにおいてNCITの人材を中心に、ビッグデータ活用およびAI/IoT系関連技術などを高レベルで有する人材を育成し、将来の中国国内でのソリューション展開に備えた人材の育成を図る方針だ。

【関連リンク】
NTTデータ(NTT DATA)
中国科学院ソフトウエア研究所(ISCAS/中国科学院软件研究所)

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