NEC、ビッグデータ分析・予測に基づき判断や計画を最適化する人工知能(AI)「予測型意思決定最適化技術」を開発

NECは、ビッグデータ分析を高度化する人工知能技術の1つとして、予測に基づいた判断や計画をソフトウェアが最適に行う「予測型意思決定最適化技術」を開発した。

今回開発した「予測型意思決定最適化技術」は、NECが開発したビッグデータに混在する多数の規則性を発見する「異種混合学習技術」(注1)などを用いた予測結果に基づいて、従来は人間が行っていた戦略や計画の立案といったより高度な判断をソフトウェアで実現する。

今回の技術を実際のデータに適用したところ、水需要予測に基づく配水計画では、浄水・配水電力を20%削減する高精度な配水計画を生成できた。また、商品需要予測に基づく価格最適化では店舗の売上を11%向上する商品価格戦略を1秒未満で瞬時かつ自動的に生成できたという。

本技術を2015年度中に実用化する予定。NECは社会ソリューション事業に注力しており、その中核領域の1つであるビッグデータ事業の強化を進めている。

・背景

IoT(Internet of Things)などの普及によって、実社会で収集されるビッグデータを活用した分析・予測のニーズが急速に高まっている。これをうけてNECは2012年に「異種混合学習技術」を開発し、資源の効率化のためのエネルギー・水・食料の需給予測、物流管理を効率化するための在庫需要予測、小売店舗管理の高度化のための商品需要予測など、高精度かつ大規模な予測を自動化した。

将来の予測を有効に活用するためには、予測結果に基づいた最適な戦略や計画を立案・実施することが重要だが、人手による判断には規模や正確性に限界があった。また、従来の技術では、多数の予測により誤差が累積し判断が不正確となることで予期せぬ大きな損失が発生する問題があった。さらに、多数の予測式の関係性を考慮した膨大な組み合わせから最適な判断を導き出す計算が膨大になるため、実現が困難だった。

今回、NECが開発した「予測型意思決定最適化技術」は、従来、人間がおこなっていた、「予測に基づいた大規模で高度な判断」をソフトウェアによって超高速かつ高精度に実現する。

・新技術の特長

1.予測誤差に対してリスクが低く効果の高い計画を生成
予測の「典型的な外れ方」(予測誤差)のパターンを独自のアルゴリズムで分析。その結果を数理最適化技術(注2)と融合することで、「外れ方」を勘案した上で最適化をおこなう。これにより、予測が外れても損失が発生するリスクが低く、安定して高い効果がでる計画を算出できる。

例えば、水の運用管理では、水需要の予測値に対して、運用者の経験に基づいた浄水、貯水、配水計画が行われていますが、過剰造水による水廃棄が多い、非効率なポンプ運転によって電力コストが高い、需要の過小評価による計画変更が頻繁に発生するといった課題があった。本技術を適用することで、最大で電力コストを20%削減し、かつ需要の過小評価による計画変更回数を1/10に削減することが可能との試算が得られた。

2.大量の予測式の関係を考慮した最適な計画を超高速に生成
本技術は、独自の組合せ最適化アルゴリズムによって、予測式の関係を考慮した大規模な組み合わせを効率的に探索し、超高速に最適な戦略・計画を導出することができる。例えば、小売店舗の商品価格戦略(ある商品と競合商品の価格と売上の関係など)では、50種類の商品に対して、それぞれの値引き額の候補を10種類設定した場合、可能な価格戦略は10の50乗という膨大な組合せ数となり、混合整数計画法(注3)などの通常の最適化技術では、最適な価格設定を算出するために膨大な時間がかかるとともに、計画の精度も低いという課題がある。

本技術を適用することで、商品価格戦略の例では、従来法(混合整数計画法)では、数時間から数日かかるところを、1秒未満で店舗の売上を約11%(試算値)増加できる価格戦略を算出できた。さらに、従来法と比較して最適化の精度(店舗の売上増加の試算値)が約20%高い(約9%→約11%)という結果が得られた。
NECは、本技術および異種混合学習を活用し、ビッグデータによる実世界への新たな価値創出に貢献します。

(注1) 2012年6月22日発表
『NEC、ビッグデータに混在する多数の規則性を自動で発見する技術を開発』
2014年6月18日発表
『NEC、ビッグデータに混在する多数の規則性を自動で発見する「異種混合学習技術」を強化』
(注2) 特定の集合上で定義された実数値関数または整数値関数についてその値が最小(もしくは最大)となる解を計算する(最適化問題を解く)ための技術。連続最適化(線形計画法、凸二次計画法など)と離散最適化(整数計画法、動的計画法など)に大別される。
(注3) 数理最適化技術の一つ。整数値を取る変数と、実数値を取る変数が混在する場合に適用される計算方法。

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