GMOブロックチェーン オープンソース提供プロジェクトの第6弾は、店員を呼ばずにテーブル会計ができる「Pay@Table」

GMOインターネット株式会社は、ブロックチェーン(※1)を利用したプログラムをオープンソース(改変可能・商用可能ライセンス)として公開する「GMOブロックチェーン オープンソース提供プロジェクト(以下、GMOブロックチェーンOSS)」の第6弾として、「Pay@Table」のオープンソースを公開した。

なお、第5弾「KYC」についての詳細はこちら

オープンソース「Pay@Table」は、飲食店などでの支払いにおいて、店員を呼ばずにテーブル会計を実現する仕組みのプログラムだ。実現できれば利用者(飲食店などの顧客)は伝票に印字されたQRコードをスマートフォンなどで読み取り、表示された金額(トークン数量)の支払いを許可するだけで会計を済ますことができる。

店舗側も、顧客の帰りがけにQRコードを読み取ることで支払いを確認できるため、オペレーションコストの軽減が見込める。

なお、現在「GMOブロックチェーンOSS」では、GMOメイクショップ株式会社と共同で、オープンソース「Pay@Table」と「地域トークン(※2)」を活用し、実店舗やネットショップで地域通貨(トークン)での支払いを可能にする「電子地域通貨・オムニチャネルプラットフォーム」の開発を進めている。

※1 ブロックチェーン:データを複数のコンピューターに分散して記録・保持する技術で、「改ざん」「データ消失」「停止」が非常に発生しにくいという特徴を持つ。
※2 地域トークン:本年8月31日に公開された「GMOブロックチェーンOSS」の第3弾(詳細はこちら)。

「Pay@Table」で実現できること・仕組み

「Pay@Table」は、「店舗ID」「伝票ID」「利用金額」情報を含んだQRコードをハブに、ブロックチェーン上で利用者から店舗への支払い処理が完了できる仕組みのプログラムだ。

例えば、飲食店に来店した顧客の場合、テーブルに置かれた支払伝票に表示されたQRコードを読み取ることで料金の支払いができるため、店員を呼ぶことなく任意のタイミングで会計を済ませることができる。

店舗側は、帰りがけの顧客から支払伝票を受け取り、QRコードを読み取ることでブロックチェーン上から支払い状況を確認できるため、会計時にテーブルとレジを往復する必要がなくなり、オペレーションコストを軽減できる。

また、支払い記録はブロックチェーン上に記録されているため、顧客の支払いや、店舗が支払いを受け取ったことなどを、第三者機関を介在せずに証明することが可能。

このように飲食店との親和性が高いプログラムだが、その他の店舗やWebサービスなどの料金支払いにも利用できるという。

「Pay@Table」を店舗で利用した際の支払いフローは以下の通りだ。

  1. 店舗(飲食店など)はブロックチェーン上に店舗登録を行い、取り扱うトークンの登録と法定通貨との交換レートを設定する。
  2. 顧客(利用者)は「Pay@Table」に対応したユーザー向けアプリをインストールし、支払い用のトークンをブロックチェーン上にデポジットしておく。
  3. 店舗は注文を受けた際、「店舗ID」「伝票ID」「利用金額(トークン数量)」情報を含んだQRコードを生成し、支払伝票に印字するなどして利用者に表示する。
  4. 顧客はテーブルにある支払伝票に印字されたQRコードを読み取り、伝票IDと支払い金額を確認。
  5. 顧客は金額に誤りがなければ、トークンでの支払いを許可する。これにより、ブロックチェーン上にデポジットされた金額から自動で店舗への支払い処理が行われる。
  6. 店舗は顧客が帰る際、支払伝票を受け取り、表示されているQRコードを読み取って「店舗ID」と「伝票ID」を取得。
  7. 店舗は「店舗ID」と「伝票ID」をもとに、顧客の支払いが完了していることをブロックチェーン上で確認する。

「Pay@Table」の特徴

1. トークンの標準仕様「ERC20」に準拠したトークンは全て取り扱い可能

「Pay@Table」はイーサリアム(※3)が提唱しているトークンの標準仕様「ERC20」に準拠している。そのため、「ERC20」に基づいて発行されたトークンであれば、店舗側は全て取り扱い可能だ。顧客(利用者)は店舗側において取り扱っているトークンであれば、支払いに使用することができる。

なお、「GMOブロックチェーンOSS」の既存プログラム「地域トークン」も「ERC20」に準拠しているため、「地域トークン」で新たに発行されたトークンも「Pay@Table」の支払いに使用できる。

※3 イーサリアム(Ethereum):ブロックチェーンプラットフォームの1つで、スマートコントラクト(契約)の実現や分散型アプリケーションの構築ができるといった特長を持つ。

2. 追加注文・返金などにも対応可能

「Pay@Table」には、追加支払い処理および返金処理のコントラクトも実装されている。例えば飲食店において追加で注文があった場合は、新たな請求金額(トークン数量)をもとに新しいQRコードを作成し、表示させることが可能だ。

顧客が新しく生成したQRコードから支払いを行うと、すでに追加注文前までの支払いが済んでいた場合は、不足分だけの支払い処理が自動で行われる。店舗は、すでに会計済みかどうかの確認や、差額分の計算を行う必要がないため、オペレーションの削減を図ることができる。

また、顧客から料金の返還請求があった場合、「どの利用者(アドレス)からどれだけの支払いがあったか」がブロックチェーン上に記録されているため、店舗から顧客(アドレス)に対して正確な返金処理が行える。

3. 店舗も導入が簡単

「Pay@Table」は、ブロックチェーンで自立的に動作するプログラムであるため、店舗はブロックチェーン上に店舗登録を行い、支払いに利用できるトークンを登録するだけで、自由にこの仕組みを導入することができる。

その他、支払伝票などにQRコードを表示する仕組みや、顧客の支払い確認用のQRコード読み取り端末を用意すれば、実際に店舗での運用が可能となる。

4. 関係者の仮想通貨(Ether)の保持が不要(代払い)

ブロックチェーンでは、何らかの処理をブロックチェーン上に記録する度に、仮想通貨(Ether)による費用の支払いが求められる。しかし、店舗や顧客が情報の記録のために仮想通貨を常時保有することはまだ一般的とは言えない。

同プログラムでは、ブロックチェーンへの記録にかかる費用を、サービス提供者が日本円等でまとめて代払いできる機能を用意しているため、顧客や店舗は仮想通貨で都度支払いする必要なく「Pay@Table」を利用することができる。

実用化に向けて

現在「GMOブロックチェーンOSS」は、ネットショップ構築サービス「MakeShop」を展開するGMOメイクショップと、「Pay@Table」および「地域トークン」の仕組みを活用した「電子地域通貨・オムニチャネルプラットフォーム」の開発を進めている。

「電子地域通貨・オムニチャネルプラットフォーム」は、地方自治体や地方銀行などが電子地域通貨(トークン)の発行・運用主体となり、実店舗やネットショップにおいて地域通貨での支払いを可能にするものだ。これが実現すれば、利便性が高く普段使いのできる電子地域通貨を通じて、ネットショップによる顧客の囲い込みも可能になる。

【関連リンク】
「GMOブロックチェーンOSS」オープンソース一覧
GMOインターネット(GMO)

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