ABBの人と協働するロボットYuMiファミリー、新たにシングルアーム型を発表 －国際ロボット展2017レポート1

産業ロボットメーカー大手のABBは、11月29日より東京ビッグサイトで開催されている2017国際ロボット展（iREX）にて、双腕型協働ロボットYuMiの第二弾、単腕型ロボット「The YuMi family IRB 14100」を発表した。現時点ではプレビュー版であり、販売価格は未定だ（2018年の製品化を予定）。

YuMiは、安全柵を必要とせず、人と協働できる安全なロボットとして2015年に発売された。YuMiは製造業における産業用ロボットに限らず、寿司を握る、プレゼントの包装をするなど様々な用途で、世界中で既に活用されている。

そこで今回、顧客がより設置・導入しやすい軽量かつコンパクトな単腕型のYuMiを発表するに至った。

単腕型のYuMiは、双腕型の機能とデザインを引き継ぎながら、「どこにでも置ける」「せまいところでも置ける」というような、顧客がより設置・導入しやすい柔軟性を追求した。可搬重量は500グラムで小型であり、テーブルの上や壁、あるいは天井から吊るすなどの設置が可能だという。

こちらは、YuMiの双腕型と単腕型を組みあせたデモンストレーションだ。中央に双腕型があり、左右の壁に単腕型が設置されている。このように、壁などに柔軟に設置できることにより、協働ロボットを活用できる幅が広がると期待できる。

また、単腕型のYuMi（デモ用）はブースの中央に展示され、誰でも触れるようになっていた。ユーザーは、写真にあるアームのオレンジ色のリング部分をつかみ、YuMiを動かすことができる。

YuMiの特長の一つ、動作工程をタブレット端末上のソフトウェアに記録させていくリードスルーティーチングは、単腕型でも同様だ。直感的に、YuMiに動作を覚えさせることができるため、特別なプログラミング技術が要らないというメリットがある。

実際に動かしてみたところ、タブレット端末上にリアルタイムでプログラムが書きこまれていった。そして、YuMiは私が動かした時の動作を、再現することができた。

また、ABBは人が近づくとセンサーで感知し、ロボットの動きが遅くなるようなシステムも構築。ロボットを含めた包括的な協働ソリューションを提案している。

ABBのロボティクス＆モーション事業のプレジデントであるサミ・アティヤ氏、ならびにABBロボティクスのマネージングディレクター、パーベガード・ニース氏は、コンパクトで設置場所を柔軟に選べる単腕型YuMiによって、協働ロボットをより普及させていきたいと述べた。

同社はそのなかでも重要なターゲットとして、中小企業をあげた。同社は今月27日に、川崎重工との協働ロボット分野における提携を発表した。それについても中小企業への普及を促進する狙いがあるとパーベガード・ニース氏は述べた。

ABBは今後も、協働ロボットのポートフォリオを充実させていくとしている。

また、ABBは協働ロボットに並ぶもう一つの重要な事業の柱として包括的なデジタルソリューションを掲げている。デジタルソリューションについても、IoTソリューション「ABB Ability」や現場などの情報を仮想空間上で共有するVRソリューションなど、さまざまな製品が紹介がされていた。

この協働ロボットとデジタルソリューションを組み合わせていくことが、マス・カスタマイゼーションの時代に対応していくために重要であるとサミ・アティヤ氏、パーベガード・ニース氏は述べた。

協働ロボットYuMiとデジタルソリューションの詳細については、以下の記事で紹介している。

第4次産業革命でキーとなるのは「コントロールルーム」　ーABBインタビュー（前編）

ヒトと隣り合って働く協働型双腕ロボット「YuMi（ユーミィ）」　ーABB インタビュー（後編）

【関連リンク】
・エービービー（ABB）

尾崎 太一

技術・科学系ライター。修士（応用化学）。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。