5Gのサービス開始により、データ通信の大容量化・高速伝送化・複数機器の同時接続などのさらなる技術革新が予想される中、5G対応ミリ波周波数帯(28GHz帯)通信機器の拡大が見込まれている。
パナソニック株式会社 インダストリアルソリューションズ社(以下、パナソニック)は、2020年5月より5Gのミリ波対応アンテナモジュール(※1)用「基板対FPC(フレキシブル基板)コネクタ」のサンプル出荷を開始した。特長は以下の通り。
- 複数の高周波信号の同時伝送で、筐体設計の簡素化と組み立ての作業性を向上
- ノイズによる通信妨害や通信速度遅延を解決し、安定通信を可能に
- 小型ながら高い堅牢性および保持力を実現し、機器の信頼性を向上
ミリ波信号は大容量、高速通信に強い反面、直線性が強く障害物に弱いという性質がある。また、ミリ波のような高い周波数帯で通信を行うには、機器内に複数のアンテナモジュールを搭載する必要がある。現在主流の同軸コネクタを使用する場合、複数のコネクタとケーブルが必要となるため、組み立ての作業性に課題があった。
同製品では、パナソニック独自の高周波解析技術によって複数の高周波信号の同時伝送を実現し、1個のコネクタのみでの接続を可能とした。これにより、データ通信の大容量化・高速伝送化に向けた筐体設計の簡素化と組み立ての作業性向上に貢献する。
5Gミリ波対応周波数帯で安定した通信環境を実現するため、アンテナモジュール用コネクタにはさらなるノイズ対策が求められている。同製品は、ソケットおよびヘッダの外形部分を金属シールド構造とすることでEMI/EMS特性(※2)を向上させ、ノイズによる通信妨害や通信速度遅延などを解決し、5Gミリ波対応通信アプリケーション(スマートフォン、タブレット、ルーター、アンテナモジュールなど)の安定通信を実現する。
パナソニック独自のタフコンタクト構造(※3)に加え、外形部分に金属シールドを追加することで堅牢性と保持力を実現した。小型のコネクタにもかかわらず、耐落下衝撃性や耐振動性を備えている。
高周波伝送で使われるLCP(液晶ポリマー)基材のFPCは一般的なポリイミド基材のFPCよりも柔軟性が低く硬いため、従来はFPCとコネクタ間に生じる応力により外れやすいという課題があった。同製品はLCP基材のFPCと組み合わせても抜けにくい構造を実現しており、機器の信頼性向上に貢献する。
同製品を活用することで、ミリ波対応通信アプリケーションの安定通信を可能とし、ミリ波対応通信機器の普及への貢献も期待できるとした。
※1 ミリ波対応アンテナモジュール:ミリ波周波数帯(28GHz帯)の電波を送受信するデバイスで、無線通信対応機器に搭載されている。
※2 EMI/EMS特性:ノイズ特性を表す指標で、EMI(Electromagnetic Interference)は電磁気妨害、EMS(Electromagnetic Susceptibility)は電磁気妨害感受のこと。
※3 タフコンタクト構造:パナソニック独自の端子構造。振動や落下衝撃に強いコネクタが実現でき、モバイル機器向け狭ピッチコネクタに採用している。
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