移動通信システムは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及や情報のクラウド化によるデータ通信量の急増を背景に、世界各国で第4世代から第5世代への移行が進んでいる。これに伴い、基地局とモバイル端末間の伝送速度の高速化だけではなく、基幹ネットワークと基地局間においても大容量の光通信システムが必要とされ、その構成部品である光トランシーバー(※1)には、さらなる高速動作と消費電力の低減が求められている。
三菱電機株式会社は、5G基地局ネットワークの光ファイバー通信で使用される光通信用デバイスの新製品として、「100Gbps(※2)EML(※3)CAN(※4)」のサンプル提供を10月1日に開始する。
同製品は、EML素子とパッケージの広帯域化およびPAM4変調方式(※5)の採用により、EML素子を搭載したTO-56CAN(※6)パッケージ製品の伝送速度100Gbpsを実現した。
また、熱電変換素子(※7)の小型化により、-40℃~+95℃の広い温度範囲での動作保証と従来比約60%の消費電力低減を実現した。さらに、業界標準のTO-56CANパッケージの採用により従来製品と外形寸法の互換性を確保した。加えて、光トランシーバーを構成する一芯双方向光モジュール(※8)の組み立てが容易なため、生産性向上に貢献する。
5Gの高速大容量化および光トランシーバーの低消費電力化と生産性向上に貢献する。
※1 光トランシーバー:光ファイバー通信に必要な電気信号と光信号を変換するための光送受信機。
※2 100Gbps:1秒間に1,000億個のデジタル符号を伝送できる通信レート単位。
※3 Electro-absorption Modulator Laser:電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザー。
※4 CAN(TO-CAN):光通信用デバイスで広く用いられている生産性(量産性)に優れた標準パッケージ。
※5 PAM4変調方式:4-level pulse-amplitude modulationの略。4値パルス振幅変調。従来の「0」と「1」から成る2値のビット列でなく、4値のパルス信号として伝送する方式。
※6 TO-56CAN:パッケージサイズφ5.6mmの業界標準TO-CANパッケージ。
※7 熱電変換素子:EML素子の動作温度を一定に保つための熱と電力を変換する素子。
※8 一芯双方向光モジュール:一芯の光ファイバーで双方向通信が可能な光モジュール。
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