STマイクロエレクトロニクス、長距離IoT通信を簡略化するLoRaWAN対応Sub-GHz STM32 SiPモジュールを発表

STマイクロエレクトロニクス株式会社は、デュアルコアのSTM32WL55JCワイヤレスSoC(システム・オン・チップ)をベースとしたプログラム可能な長距離・低消費電力IoT向けSiP(システム・イン・パッケージ)モジュール「STM32WL5MOC」を発表した。

同製品は、LGA92パッケージ(10x10mm)で提供され、SoC、TCXO、バラン、フィルタ、マッチング回路、送受信スイッチなど、システム動作に必要な受動部品が集積されている。これらの部品をモジュールに集積することで、RF設計の期間短縮や、小型化、回路レイアウトの簡略化に貢献し、経験豊富なエンジニアによる複雑なRF設計におけるコスト削減や、認証にかかる時間の削減が可能となる。

また、低消費電力で長距離のデータ通信を実現し、システム・バッテリの寿命を10年以上延長した。864MHz~928MHzの周波数帯で動作するため、世界各地においてライセンス・フリーで使用できる。

さらに、LoRaWANおよびSigfoxネットワーク接続の認証を取得済みだ。このオープンなワイヤレス・サブシステムにより、LoRa変調、(G)FSK、(G)MSK、BPSKなどさまざまな変調方式をサポートしており、標準プロトコルや独自プロトコル(wM-Bus、Wi-Sun、Miotyなど)との互換性も有している。RF出力パワーは、米国やアジア地域で許可されている最大22dBm、またはヨーロッパなどの規格に準拠する15dBmから選択できる。

STM32WL55 SoCのデュアルコア・アーキテクチャと、内蔵のFlashメモリ(256KB)およびRAM(64KB)を活用することで、ユーザのアプリケーションに優れたリアルタイム性能を提供する。STM32WL55に搭載された、DSP拡張命令を持つArm Cortex-M4コアおよびCortex-M0+は、いずれもセキュリティ強化に向けたメモリ保護を実行する。Cortex-M0+は、鍵管理やセキュア・ファームウェア・インストール/アップデート、セキュアなSub-GHz MACレイヤといったセキュアなサービスも備えている。

加えて、オプションでセキュア・エレメント「STSAFE-A110」を搭載した製品も提供されており、データのエンド・ツー・エンドのセキュリティおよび、ネットワーク・セキュリティのさらなる強化に貢献する。

そして、同製品はSTM32Cube開発エコシステムに完全に統合されており、マイコンの初期化コード自動生成ツール「STM32CubeMX」にも対応している。STM32WL5MOCを搭載したワイヤレス試作開発ボード「B-WL5M-SUBG1」も入手可能で、評価およびソフトウェア統合の簡略化に貢献する。このボードには、調整済みのアンテナが付属しており、すぐに使用することができる。

同製品を活用することにより、LPWANワイヤレス通信の簡略化、高速化、および高効率化を実現するとともに、遠隔メータ、モニタリング、およびスマート・センシング機器の部品コスト削減と開発期間短縮に貢献する。

なお、同製品は現在量産中で、10,000個以上購入時の単価は約9.09ドルである。

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