NTT Com、IOWN APNを活用したテレビ局の番組制作設備による広域リモートプロダクションを展示

従来、番組制作における撮影や中継においては、中継車で多くの中継機器を現地に用意することや、多くのスタッフを現地に派遣する必要があるため、業務効率の向上や人員の確保などが課題であった。

このような課題に対して、よりコストを抑えながら高速・大容量・長距離の伝送を実現するために、番組制作から送信所またはネットワーク局へ送るまでをIPネットワークで行う「MoIP(Media over IP)」の導入が進んでいる。

このMoIPを活用することで、中継や番組制作などの作業を遠隔から行うことが可能となった。作業場所の制約が無くなることで、撮影機材や人員配置の効率化、柔軟な番組制作が可能なリモートプロダクションに期待が高まっている。

また、リモートプロダクションを活用した番組制作を行うためには、遠隔地同士を高速大容量、低遅延かつ揺らぎが少ないネットワークで接続することが求められる。

こうした中、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、2024年11月13日~15日に幕張メッセで開催される「Inter BEE 2024」における、コンテンツ制作のDXを構築するプロジェクト「INTER BEE DX x IP PAVILION」に参画し、IOWN APNを活用した広域リモートプロダクションを展示すると発表した。

この展示は、NTTが提唱する次世代情報通信基盤「IOWN APN(オールフォトニクスネットワーク)で約1,200km離れた札幌と幕張メッセを接続し、テレビ北海道などの協力とともに、テレビ局で実際に運用されている番組制作設備を使った広域リモートプロダクション(※)の動態展示を実施するものだ。

※リモートプロダクション:撮影場所と制作スタジオなどをネットワークで接続し、現場の映像や音声を、別の場所から遠隔で編集・切替・配信する技術。

テレビ北海道と幕張メッセ会場の間には、常時20以上のMoIPのストリームが互いに流れている状態を再現している。また、MoIPにおいて必要不可欠となる時刻配信プロトコルである「PTP(Precision Time Protocol)」による時刻同期の仕組みを使って、幕張メッセ会場のネットワーク装置や各端末が、テレビ北海道の放送局の基準クロックと時刻同期して動かせることを検証する。

幕張メッセ会場では、テレビ北海道本社で実際に運用されているMoIPによる番組制作のマスター(master control room)およびスタジオ・サブ設備を、幕張メッセから遠隔でコントロールする。

これにより、テレビ北海道のスタジオおよび幕張メッセに設置したカメラ映像などのMoIPストリームを即時に遠隔で切り替えるなど、オールMoIPによるリモート番組制作の環境を実現する。

なお、この展示は、来場者が実際に触って体感することができるとのことだ。

今後は、今回の「INTER BEE DX x IP PAVILION」への出展で得た知見をもとに、IOWN APN関連技術のさらなる活用および新たな技術との融合を目指すとしている。

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