エスイーエー株式会社と住宅設備メーカーが共同で手掛けたスマートハウス「Smart2030零和の家」は、太陽光発電15kWと9.8kWhの200V対応全負荷型蓄電池とエコーネットライト設備を制御するHEMS(※)と連動している。しかし、4人家族の夜の自家消費電力をすべて創エネで対処するには蓄電池容量不足の不安があった。
今般エスイーエーは、家そのものを「EVステーション」化し、EV車の大容量蓄電量と6kWの充給電が可能なV2Hの採用により再生可能エネルギー自給率100%を実現する「Smart2030零和の家 上越中央展示場」を、2020年11月1日に直江津海岸沿いにオープンした。詳しい特徴は以下の通り。
- 停電に強い
- 地震後の電気復旧時に起こる通電火災を回避
- 水害時でも安心
- 非常時に電気のシェアが可能
- 湿度と快適な温度をキープ
- ヒートショック対策
- 繰り返す地震にも強い
- すべての設備がAIとIoT技術により制御
自然災害で停電が発生した場合、蓄電池から6秒後に最大3kWの電力が給電される。EV車が接続されている状態であれば、自動でEV車から最大6kWの電気が住宅に給電できる。蓄電池とEV車の給電を自動で切り替えるユニットの接続に成功し、この仕組みはモデルハウス内の疑似停電で体験できる。
停電後の電気の復旧による建物火災の原因となる「通電火災」を回避できるよう、震度5強以上の揺れで動作する「スマート感震ブレーカー」が大震災の場合住宅への給電を停止する。
蓄電池、V2H(Vehicle to Home:EV車に蓄えた電気を家庭で利用するシステム)、エコキュート(ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かす電気給湯機)を防災シャッター付きガレージ内に設置することで、水害時の被災から住宅設備を守る。EV車は充給電時に充電ポートを開けたまま使用するので盗難防止になる。またガレージに水が侵入するのを防ぐ「止水シート」を標準仕様にしている。
災害時でも停電しないメリットを活かし、「EES(エマージェンシー・エネルギー・ シェルター)」という非常電源ボックスを外に設置してあることで、停電時に電気の使えない人に電気をシェアすることができる。
断熱・気密性を高めるためにトリプル樹脂サッシを採用したことで自家消費電力を抑制でき、冬は1階に設置した無給水加湿できるエアコン1台、夏は2階に設置した同エアコン1台を別々に稼働し、ウイルス感染予防に効果的とされる50%~70%の湿度と快適な室温を年中維持する。
住宅内の温度差によるヒートショックを防ぐため、消費電力の低い気圧調整式第一種全熱交換機システムをダクトレス工法で基礎内に設置し、無給水加湿暖房設備との融合により、正圧の空気環境で、床暖房設備が無いのに真冬でも足元から暖かい「まるで床暖」という商標を取得した。
大地震を前提にした耐震性能だけでなく、地震の前後に発生する震度1~5弱程度の前震や余震の揺れでも稼働する制震ダンパーにしたことで、建物の経年劣化などメンテナンス費用を最小限に抑える。
日本卸電力取引所のダイナミック・プライシング電力を導入した新電力会社との提携により、高騰が見込まれる深夜帯電力を利用するのではなく、日中の太陽光発電でエコキュートの湯増し、蓄電池やEV車の充電をAIが発電量から判断しリアルタイムに制御する。長雨警報が発令された場合など、住宅内への給電を停止して非常時に備える機能もAI付HEMSが自動制御することができる。
また、すべての住宅内環境が「見える化」でき、エコーネットライト対応設備をスマートフォンから遠隔で操作、制御できる。全窓に「スマートタイプ外付けブラインド」を設置したことで、防水、暴風、採光、日射遮蔽、換気、断熱性能を高め、カーテンやブラインドではできない窓の有効利用を提案している。日の出で外付けブラインドが開き、日の入で閉まる。日射が強い時は、ブラインドの角度を0度から90度に自在に変えられ、室内に入る日射量をスマートフォンから調整できる。
また、同展示場では「疑似停電」という停電体験を実装し、あたかも本番さながらの停電状況を再現、200V設備であるエコキュート(湯増し)でお湯の利用やIHキッチンによる調理ができ、エアコンで冷暖房もできる。非常時でも普段通りの生活を送ることができる様々な機能を体感できるという。
※ HEMS:エネルギー消費量を可視化し家電・電気設備を最適に制御する管理システム。
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