建設現場では、ICT建設機械を用いて、施工管理の省力化・効率化を図る取り組みが推進されている。
西松建設株式会社と戸田建設株式会社、株式会社奥村組は、2021年に3社で共同開発した「データ利活用型ICT 土工管理システム」を複数の実現場に適用し、建設現場の生産性向上を実証したことを発表した。
同システムは、盛土転圧管理システムで得られる施工履歴データを集約することで、盛土の出来高管理や材料情報のトレーサビリティ管理への利活用を可能にした。同システムによる施工管理の効率化および高度化の効果を確認するため、同システムを構成する各技術「施工履歴データを活用した土量管理システム」「土砂トレーサビリティ管理システム」を現場に適用し、改良を図りながら有効性を確認した。
土量管理システムは、転圧施工履歴データをクラウドサービス「CIMPHONY Plus(福井コンピュータ)」に集約することで、日々の土量管理を行うものである。データ利活用にかかわるデータ処理、クラウドへのアップロード作業を自動化し、職員の手間なくクラウド上で施工管理(土量算出・進捗把握)を行うことができる。汎用性が高く、建機メーカー各社の転圧データに対応可能であり、多様な施工条件でも施工管理の省力化・効率化を実現する。
今回、同技術を「東海太田川駅西土地区画整理事業」など施工中の4現場に適用した結果、転圧施工履歴データの処理およびクラウドへのデータ集約の自動化により、現場職員は日々の施工後にクラウド画面を確認するだけで、施工土量を把握することができることを確認したほか、土量管理システムによる算出土量の精度は空中写真測量と比較して3%以内の差であり、作業時間に関しては99%削減となったことが確認できた。
また、土砂トレーサビリティ管理システムは、ダンプトラックに搭載したセンサにより「どこの土」を「どの場所」に盛土したのかを記録するものである。センサデータと盛土転圧管理システムの施工履歴データを関連付けることで、3次元土工管理図(属性情報の土質情報により色分けされたボクセルモデル)を自動作成し、盛土のトレーサビリティ管理を省力化する。作成される3次元土工管理図には、施工日や土質情報などの属性情報が付与されており、将来の施工履歴の確認等にも活用できる。
同技術を施工中の3現場に適用し、実証を行った結果、盛土材料のトレーサビリティデータを自動的に作成できることを確認した。また、開発当初の土砂トレーサビリティ管理システムは、センサ取り付けに手間と時間を要し、大規模土工などでダンプトラックの台数が多くなると準備に時間がかかる等の課題があった。そこで、センサの取り付け方法や電源ケーブルなどの配線を改良し、取り付け時間を短縮した他、センサ改良による精度向上も実現しました。
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