現在、国内では経年劣化が進行する橋梁などの道路構造物において、5年に1度の定期点検が義務化されているが、全国73万の橋梁を点検する必要があり、土木技術者が不足している。
また、現地での点検作業以外にも、過去の点検結果と各損傷の対応付けのため、損傷の位置やサイズを記録するには時間と手間を要する。
そうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)は、橋梁やダムなどの大規模構造物3Dデータと、過去の点検画像を組み合わせてモデル化することで、損傷の位置やサイズの変化検知と進行予測を可能とする技術を開発した。
今回の技術では、現実空間の事象をデジタル空間に再現するデジタルツインを活用し、デジタル空間に建造物の実寸大の3Dモデルを構築する。
具体的には、レーザ光を活用して、距離や形状のセンシングを行うLiDARを用いて計測した建造物の3Dデータ(点群データ)と、異なる位置や角度から撮影した過去の画像を照合・解析することで、損傷の位置やサイズの時系列変化を3Dモデル上で検知するとともに、これらを自動で記録する。
さらに、過去の画像から現状の損傷の進行程度を数値化し、時系列変化の傾向から将来の経時変化を予測できる。

これにより、例えば補修時期判断の際に役立てることに加え、現地での点検業務の効率化を支援する。
この技術を活用し、2023年6月から、豊田市と共同で愛知県豊田市内の橋梁で実証実験を開始する。
なお、NECによる事前検証においては、数センチの誤差で損傷の位置とサイズを検知することが確認されている。
今後NECは、この技術を強化し、2025年度を目標に、橋梁の管理者や点検従事者向けの製品化を図るとしている。
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