八千代エンジニヤリング、マルチAIエージェントで橋梁の補修設計を自動化する支援ツールを開発

社会インフラの老朽化が進む中、橋梁の補修計画や設計業務においては、損傷原因の推定や環境条件、将来の利用計画などを総合的に考慮した最適な工法の選定が求められ、高度な専門性が必要とされている。

しかし従来は、これらの判断が技術者の経験や知見に強く依存しており、担当者の習熟度によって選定される工法が異なったり、損傷の予兆を見落としたりといった品質のばらつきや手戻りが発生していた。

さらに、近年の点検データの電子化に伴い情報量が膨大化しており、そのデータの精査にかかるコストと時間が技術者の大きな負担となっていた。

こうした中、八千代エンジニヤリング株式会社は、生成AIを活用して橋梁の点検調書から損傷原因分析、最適な補修工法の自動策定および品質検証までを一貫して行う「橋梁の補修設計支援ツール」を開発し、特許を出願したと発表した。

同ツールは、大規模言語モデル(LLM)と検索拡張生成(RAG)技術を高度に統合し、役割の異なる複数のAIが連携する「マルチAIエージェント」の仕組みを採用している。

具体的には、まずAIが点検調書や写真から損傷の形状、ランク、周辺環境などの必要情報を自動で抽出する。抽出されたデータはRAG技術を用いて同社の社内ナレッジデータベースと照合され、損傷原因の特定が行われる。

その後、AIが技術者としての視点で補修方針を提案し、構造物の寿命や施工条件、コストを考慮した複数の補修工法案(推奨案や代替案)を生成する。この際、システムはどのような根拠で結論に至ったかという論理の流れも可視化する。

さらに、生成された工法案に対しては、別のチェック用AIエージェントが検証を行う自己改善(セルフチェック)機能が実装されている。AIが自ら評価と修正を繰り返すことで、基準を満たす実務に耐えうる高い信頼性を担保する仕組みとなっている。

実際に行われたAIによる検証では、生成された回答を「措置方針の妥当性」「工法選定の適切性」「補修工法の持続性・再劣化防止」「損傷の原因の理解度」「提案内容の明確性・論理性」「施工性・安全性・周辺への影響」の6つの観点から各5点満点で評価した。

その結果、6橋65箇所の損傷に対して生成された回答において、多くの損傷で満点である30点を獲得し、内容が妥当であると評価された。

加えて、技術者による検証においても、表面的なひび割れの補修にとどまらず、「内部滞水」という判断の難しい要因を推定し、水抜き孔設置と橋面防水を組み合わせた高度な提案が行えることが確認されている。

これにより、経験の浅い若手技術者であっても熟練者と同等の高品質なアウトプットが可能となり、属人化の解消と業務の大幅な効率化が期待できる。

八千代エンジニヤリングは今後、自社が注力する橋梁包括事業における実務で本ツールの実証検証を行い、活用効果を定量的に評価していくとしている。そこから得られた知見を基に社内データベースの精度と網羅性をさらに向上させ、国土交通省の業務などでの本格的な活用を目指す。

将来的には、人員不足や技術継承に悩む地方自治体や連携企業へも同システムを展開していく計画だ。

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