まだ、サービスがリリースされてからわずか4か月。IoT向けMVNOサービスとして矢継ぎ早にサービスを増やし、すでに利用企業は1,500社を越え、料金値下げもすでに2回も実行したSORACOMの第一回カンファレンスが東京・大崎で開かれた。
満席の会場は熱気で盛り上がり、大小様々な企業からきたオーディエンスの幅もSORACOMに期待を寄せる人が多いことを物語っていた。
構成は展示とプレゼン・パネルディスカッション形式で行われたが、日立のような大企業から、スタートアップまで様々な企業がSORACOMの利用について話された。会の後半では、IBM, Microsoft, Amazonが一堂に会する場面もあったり、シークレットゲストが登場したり、SORACOMからこれからの発展を予感させる新サービスが発表されたり盛りだくさんの一日だった。
目次
オープニング・新サービスの発表
「IoTにおける課題を解決して行きたい。」会の冒頭、SORACOMの代表玉川氏は「通信インフラ」というIoTの根幹を担うサービスの提供者としての意欲を示した。
これまで通信というと、ヒトが使う通信が主流で、モノの通信というものが一般化されてこなかった。そこで、NTTドコモの基地局とAWSクラウドを使ってバーチャルキャリアを作った通信サービスやろうとしたのがSORACOMの始まりだ。
初期のサービスとしては、1日10円から使えるSORACOM Airをリリース。管理部分をクラウドに持ってくるということに成功し、SIM1枚1枚の動きを管理画面からコントロールすることができるようになった。他にも、SORACOMは、「通信」をプログラマブルにしたことという功績もある。
さらに、SORACOM Beamはモノがインターネットに繋がる際、モノからSORACOMのクラウドまではキャリアが保障するセキュアな回線で守られているため、セキュアな通信プロトコルで通信しなくても問題がないが、SORACOMの先に行くのはインターネット上を通信することになるので、セキュリティを担保する必要がある。SORACOM Beamは、SORACOMのクラウド上で暗号化して、その先に繋がるサービスへもセキュアに接続することができるサービスだ。
例えば、モノから「HTTP」通信でSORACOMのクラウドに情報があがってくるとする。これを「HTTPS」に変換して業務サーバに飛ばすというようなやり方だ。
後述するが、今回のカンファレンスで、SORACOMは新サービスを打ち出している。
SORACOM Air
SORACOM Beam
SORACOM C(?)
SORACOM D(?)
SORACOM E(?)
SORACOM F(?)
という具合にだ。A, Bは先ほど説明した通りだが、C~Fがどういうサービスか、については別の記事で技術セッションの内容を詳しくレポートしていきたい。
SORACOMを利用した事例を一気に紹介
代表の玉川氏のキーノートスピーチでは、この4か月でSORACOMを利用したサービスがどれだけ立ち上がってきたかを一気に説明された。
Safecast
ボランティアがつくる、放射線情報マップについて、放射線情報を取得するデバイスにSORACOMを利用したという事例だ。放射線情報を取得するデバイスは数がたくさん必要になるので、通信費用の負担は大きな問題であった。そこで、SORACOM Airが必要になったということだ。
パルコ
パルコの店舗の入り口に配置されたカメラで、顧客の来店状況を把握し、来店顧客の分析を行っているということだ。
十勝バス
北海道の十勝で走る、路線バスにはSIMがついたGPS機器が搭載されている、これによって、リアルタイムに位置情報が取得し、運行管理アプリで可視化するということだ。
デザイニウム
除雪機にSIMをいれ、除雪機がどこを走っているかを取得しているというプラットフォームにSORACOMを使っているということだ。
フォトシンス
ドアの鍵に後付けで取り付ける、スマートロック「AKERUN」のリーモート制御をすることができる機器で、SORACOMを利用することで割安な通信費用でサービスを実現している。
スタートアップから新サービス登場
LiveConnect(介護), otta(見守り), まごチャネル(高齢化社会)などでも利用されているということだ。
リクルートライフスタイル
「Airレジ」というタブレットを利用したPOSレジで、屋外のイベントなどの店舗で、POSレジを利用するというテストを実施したということだ。
東急ハンズ
店舗システムのバックアップ回線にSORACOM Airを利用して、有線回線が障害が起きた時に利用しているということだ。
スタディスト
マニュアル作成ツールと端末、SIM込みで、ワンストップパッケージサービスを行っているということだ。
eConnect Japan
訪日旅行者に期間限定SIMを提供するサービスを運営している。そのサービスの利用状況はSORACOMのAPIをつかって、ほぼ自動化しているというのだ。例えば、7日間まで利用できるが、7日すぎると追加課金しないと使えなくなる。お金を支払えば復活させたいという考えがあっても、通信ができないと店舗まで来てもらわないと実行できない。しかし、SORACOMの仕組みを使うことで、特定SIMの入った電話は、特定のURLにだけアクセス可能な状況を作ることができる、というような仕組みもSORACOMのサービスを使って実現しているのだ。
ソラコム パートナープログラム
サービス開始から、4ヶ月で117社の申請済みパートナーがあり、現在21社認定をしているということだ。
パートナープレゼン
セールスフォース・ドットコム 取締役社長 兼 COO 河原氏
Saleforceは、IoCを活用した所ルームで全く新しい顧客体験の仕組みを低コスト、スピード開発で実現したというのだ。次世代ショールムを作ったのだ。ショールームにはiPadを置き、SORACOMと接続しパーソナライズ情報を取得。ショールームを回っている時にiBeaconを使って、どこで、どういう行動をしていたかを可視化したというのだ。
その結果、ショールームの「どこで」「どのくらい滞留」したか、どこで「いいねボタンを押した」か、どこで「資料請求ボタンを押した」かについてオンラインでわかるようになったということだ。
さくらインターネット 小笠原氏
モノがインターネットにつながるということで、さくらインターネットとしては、今後はインフラ以外の部分にも進出したいということだ。
IoT分野に進出するということで、独自のSIMモジュールの提供も考えている。現状出ているモノよりできる限りやすくしていきたいということだ。
これには独自プランとサービスがついてくるということを狙っていて、SORACOMともうまくつないでいきたいと抱負を述べた。
【SORACOM Connected ~IoTとテレマティクスの未来~ トヨタ・ジャパンタクシー・ガリバーインターナショナル】へ続く。
SORACOM Connected関連記事(編集の都合でまとめる可能性もありますがご容赦ください)
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。