東京国際エアカーゴターミナル株式会社(以下、TIACT)が利用するドーリーは、航空機に搭載するコンテナやパレットなどの貨物を運搬するための台車で、空港内で24時間365日荷役に活用されている。広大な敷地内には他社のドーリーも多数存在しており、ドーリーが必要な状況で台数が不足するなど、従業員はその管理に多くの工数を費やしていた。
これまでにTIACTでは、位置管理サービスの実用化を目指して各種通信方式で実験を実施したが、通信デバイスの頻繁な電池交換が困難、また、コスト面が課題となり導入に至らなかった。
そこで、TIACTと京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は、東京国際空港(羽田空港)内におけるドーリーの位置管理のために、TIACTがKCCSの提供するグローバルIoTネットワーク「Sigfox(※)」を活用した位置管理サービス「IoT Tracker」を正式導入した。
IoT Trackerは、KCCSが提供する、資産の位置管理サービスである。電池は1年以上交換不要でデバイスの長期稼働が可能、通信料を含めたシステム使用料金の低廉化が可能、利用者による専用ネットワーク構築が不要といった特長を持つため、広大な敷地内で長期間にわたって使用するドーリー管理の要件を満たすことができ、今回の導入に至った。
空港内のドーリーにSigfoxデバイスを装着することで、対象資産にSigfox 対応の各種IoTデバイスを装着することで、デバイスから送信される位置情報をMAP上に可視化することができる。位置測位方法は、GPS、Atlas Native(Sigfox基地局をベースにした位置測位サービス)、Atlas WiFi(Sigfoxが提供するWi-Fi測位サービス、2019年12月提供開始予定)、Google Geolocation API(Googleが提供するWi-Fi測位サービス)などの複数の方法に対応している。
今後、物流資材や建設機器など、さまざまな資産の位置情報を把握できるよう対象資産の幅を拡大する予定だ。
※ フランスのSigfox S.A.が提供しているIoT用のネットワーク規格。2009年よりフランスで導入が始まり、ヨーロッパを中心に現在65カ国に展開されている。日本国内においては、KCCSがSigfoxネットワークを運営する通信事業者(Sigfoxオペレータ)として、2017年2月からネットワークを提供している。サービス開始以降エリア構築を進め、全都道府県でSigfoxを利用できる環境を整備している。
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