近年、顔や虹彩など人間の身体的または行動的特徴を用いて個人認証する生体認証は、スマートフォンでの本人確認や施設の入退など、人々の暮らしや社会の中で拡がりをみせている。
日本電気株式会社(以下、NEC)は、生体認証「Bio-IDiom」の中核技術である顔認証技術と虹彩認証技術を組み込んだマルチモーダル生体認証端末を開発した。
同認証端末は、顔認証技術と個人識別可能な虹彩認証技術を統合することで、身体的特徴の多様性への対応が必要な大規模システムや厳格な本人確認が必要な利用環境において、安定した精度で認証を行うことができる。詳しい特長は以下の通り。
- 他人受入率(※)100億分の1以下を実現する認証技術
- 顔と虹彩の一括取得により本人確認を実現
- マスクをつけたまま、さまざまなシーンで利用可能
顔認証と虹彩認証それぞれの照合結果を統合して判断するNEC独自開発のアルゴリズムにより、他人受入率100億分の1以下を実現する認証が可能となる。顔情報と左右の目で異なる虹彩情報の3つの特徴を用いて認証を行うことで、精度を向上させた。
同認証端末は、利用者の身長に合わせて内蔵カメラが傾きを自動調整し、顔や目の位置を捉えて顔と虹彩の検出を同時に行い、照合したスコア結果から本人確認を行う。これまで顔情報と比較して取得が難しかった虹彩情報を正確に捉えるために、顔情報から虹彩の位置を迅速に特定し、ピントや照明を自動調整する技術を開発した。これにより、個々に身長が違っても利用者に負担をかけることなく約2秒間で認証が可能となった。
顔と虹彩情報を活用したマルチモーダル生体認証技術の応用により、手袋、マスクの着用時や、両手が荷物で塞がっているようなシーンでも、非接触での個人認証が可能だ。
同認証端末により、国や社会などでの大規模人数を対象としたシステムでの活用や高いセキュリティを求めるオフィスへの入退室、また衛生面に配慮した服装やマスク着用が必要な食品工場、工場内のクリーンルーム、医療現場での入退室、さらにはATMでの本人確認や店舗での迅速な決済など、さまざまな用途での拡がりが期待される。
今後NECは、同認証端末を2021年度までに、まずは決済や入退室用途での提供開始を目指すとした。
※ 他人受入率:他人が認証を行った場合に本人であると誤認してしまう割合。
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