印刷業界では、人材確保と専門スキル継承の困難さが増すとともに、受注案件の小ロット・多品種化や短納期化への対応が求められている。このような状況下では、生産性向上や業務改善が不可欠であり、印刷全工程を一元管理することがビジネス変革への一歩となるとされている。
富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社は、印刷の全工程を一元的に管理する統合型ワークフローソフトウェアの新バージョン「Production Cockpit 3.0」を、2020年9月17日より発売開始する。
Production Cockpitは、印刷工程におけるさまざまなメーカーのシステム・機器をひとつのユーザーインターフェイス(UI)から一元管理できるソフトウェアである。
新たに発売するProduction Cockpit 3.0は、オフセット/デジタル印刷の統合管理や、印刷機や加工機などの各機器のスケジューリングの自動化および稼働実績の可視化といった以下の機能強化により、生産性向上と業務改善に貢献する。
- オフセット/デジタル印刷の統合管理が進化
- 各機器のスケジューリングを自動化・最適化
- 稼働実績データを集計・可視化
富士フイルムのハイブリッドワークフローシステム「XMF」と連携し、オフセット印刷とデジタル印刷の統合管理を進化させた。印刷のプリプレス工程(※1)を管理するXMFとの連携により、XMFが持つプリプレス工程の面付け(※2)機能や印刷工程のステータス確認・実績入力機能が、印刷工程全体を管理するProduction Cockpit 3.0から利用可能になった。
デジタル印刷に加えてオフセット印刷の工程管理機能を強化することで双方をシームレスに併用できるワークフローを確立し、印刷業務の生産性向上と業務改善を図る。
印刷機や加工機など各機器の「自動スケジューリング機能」を強化したことで、印刷枚数・加工処理数や各機器の稼働状況・処理能力に基づいた自動スケジューリングが可能となった。また、自動スケジューリング後も稼働状況に応じて手動で微調整ができるため、柔軟な運用にも対応可能だ。
さらに、Production Cockpit 3.0より「最適スケジューリング機能」を新たに搭載した。自動スケジューリング後、最適化ボタンを押すと総生産時間や各機器の作業時間などの指標を基に、推奨スケジュールが複数提示される。提示された候補から各指標の優先度に応じて最適なスケジュールを選択することができる。これまで熟練したオペレーターが行っていたスケジューリングを自動化・最適化することで、効率的な印刷を実現する。
Production Cockpit 3.0では、印刷機や加工機など各機器の稼働実績データを集計し可視化する「ダッシュボード機能」を新たに搭載した。顧客別受注件数の内訳や各機器の稼働状況などのグラフ表示により、受注・生産状況を把握した上での迅速な経営判断を支援する。また、外部BI(Business Intelligence)ツールと連携させることで、稼働実績データを詳細に分析するなどさらなる業務改善に繋げることもできる。

※1 プリプレス工程:印刷の前工程の総称。入稿、面付け、刷版など。
※2 面付け:印刷と製本などの後加工を考慮して、1つの版の上に複数のページを配置すること。
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