商業施設などにおいて、特定人物の捜索に、カメラ映像から視覚的な特徴を分析する手法が注目されている。
しかし、誤検索により対象の人物が抽出できない場合や、服装などの条件からの検索では絞り込みが難しい場合など、カメラ映像の有効活用には課題がある。
また、顔認証技術を使用した分析は、プライバシーへの配慮が必要であり、カメラの解像度が不足している場合には有効に活用できない可能性がある。
そうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)は、カメラ映像を分析し、人物の性別、服・帽子・靴の色や形状など、曖昧な外観属性情報から特定の人物を検索することができる映像分析向けの「あいまい検索技術」を開発した。
今回NECが開発した技術は、まずカメラに映っている人物の視覚的な特徴から、性別、上下それぞれの服や帽子、靴の色・形状、鞄など、100以上の属性情報をAIによる推定の確信度とともに付与することができる。
そして、特定人物の検索の際には、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定、双方の曖昧さを考慮し、総合的に合致するかを判定して検索結果を出力する。
例えば、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によりAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても、候補から排除することなく対象人物を見つけることができる。

さらに、「あいまい検索技術」は顔画像を使用しなくても外観属性の推定が可能。これにより、プライバシーに配慮した運用が可能だ。
NECが実施した実証では、人の往来が激しい14か所のエリアを撮影し、1,000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、「あいまい検索技術」を用いて平均2分で対象人物を発見できることを確認したのだという。
今後NECは、「あいまい検索技術」を迷子捜索に加え、来場客の属性情報を分析するマーケティング領域などへの適用を進めて行くほか、アパレルなどのECサイトにおける検索体験の向上など、映像分析以外の領域にも応用することを検討していくとしている。
なお、「あいまい検索技術」の実用化は、提供中の「NEC 映像分析基盤」にて、2023年度中に行われる予定だ。
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