株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は、Nordic Semiconductor社(以下Nordic)と協働し、Nordicの通信モジュール「nRF9160」が、IIJのSoftSIMに対応したと発表した。
これにより、通信機能を搭載する電子機器やスマート家電などのIoTデバイスを開発・製造する国内外の事業者は、自社IoT製品の小型化・軽量化が可能となり、SIMカードやチップSIM搭載の作業が不要となる。
SoftSIMは、通信モジュールの特定領域に通信プロファイルを格納することで、物理SIMと同じようにモバイル通信を可能にするものだ。
SIMカードとSIMソケットが不要となり、通信基板上でそれらの部品を搭載する物理的なスペースが不要となる。
また、故障率が低減し、温度耐性や耐振動性、耐衝撃性を高め、物理的な破損や外的要因による通信障害等の低減が可能だ。
さらに、開口部が不要となるため、外装の防水設計が容易となり、通信機器の小型化、さらにはSIMカードの盗難抑止にも繋がる。
IIJは、2019年からSoftSIMソリューションを提供しており、今回SoftSIM対応ラインアップとして、新たにNordic製「nRF9160」にもサポートを拡大した形だ。
「nRF9160」は、IoT製品が無線通信を行うために必要な機能を一つのパッケージに集積した通信モジュールだ。(トップ画)小型、低消費電力、グローバルで認証された周波数帯に対応しているという特徴がある。
通信モジュール内部にアプリケーションプロセッサやメモリがすでに搭載されているため、追加で制御用の部品を基板に搭載する必要がない。
これにより、自社製品の小型化・軽量化や製造コストの低減に加え、SoftSIMの特性を活かし、製造工程に合わせて通信プロファイルを設定することができる。
IIJは、日本に加え、海外でも利用可能な通信プロファイルを提供している。通信プロファイルは、OTA(Over the Air: 無線通信による情報の更新)により書き換えが可能だ。
例えば、IoT製品をA国で製造し、複数の国に出荷後、出荷先のB国、C国で、それぞれの通信プロファイルをダウンロードし、利用することができる。
またIIJは、通信モジュールの利用状況に応じて2つのタイプのSoftSIMを提供している。一つは「nRF9160」をモデム機能として利用する場合。もう一つはモデム機能に加え、モジュール内にユーザが自社製品の仕様に合わせたプログラムやアプリケーションを組み込んで利用する場合にも提供が可能だ。
なお、すでに「nRF9160」を搭載したIoT製品を製造している場合は、ハードウェアの仕様を変更せずに、「nRF9160」に書き込む制御プログラムの修正のみのマイナーチェンジでSoftSIMに切り替えることができる。
また、SoftSIMを前提にハードウェアの設計自体を変更するフルモデルチェンジにあたっても、PoCをサポートするなどの支援を行うとしている。
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