シャープ株式会社と国立大学法人東北大学は共同で、量子コンピューティング技術の一種である量子アニーリング(※)を応用し、千台規模の自動搬送ロボットを同時制御可能なエンジンの開発に成功した。
※量子アニーリング:量子コンピューティング技術により、膨大な選択肢から最適解を選び出す「組み合わせ最適化問題」を、汎用コンピュータと比較して超高速で処理可能な計算技術のこと。
両者は昨年、物流業界における自動搬送ロボットの多台数同時制御技術に関する共同研究に取り組んできた。
そして今回、量子アニーリングの計算方法を、汎用コンピュータ上で疑似的に再現するシミュレーテッド量子アニーリング(SQA)技術の活用により、従来は計算量が膨大で実現が困難であった、千台規模の自動搬送ロボットの最適経路を生成する計算エンジンの開発に成功した。
また両者は、同エンジンにAIを組み合わせた、大規模物流倉庫向けアプリケーションの研究も開始した。
これにより、AIを用いて商品の需要予測から入出庫管理、商品・作業者配置までを最適化することで、入出庫フロー全体の生産性を向上するソリューションの開発に取り組む。そして、2026年度中に性能評価や実証実験を行い、2027年度内の実用化を目指すとしている。
なお、同エンジンのさらなる高性能化およびアプリケーションの開発に関する研究は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業」に採択されたとのことだ。
また、2024年9月17日~18日に東京国際フォーラムで開催される技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」にて、「次世代SQAロボットストレージシステム」として、同エンジンを活用したソリューションを参考出展する予定だ。
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