近年、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でのインパウンド需要に向けて、決済にかかる手間やコストを削減可能にするキャッシュレス化の需要が高まっている。従来のキャッシュレス決済を支えるシステムはオンプレミス型であることが多く、導入スケジュールの長期化や稼働後を含めたコストの増大が課題となっている。
株式会社インフキュリオン・グループと日本マイクロソフト株式会社は、金融機関の顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する次世代金融プラットフォームにおいて協業する。その第1弾として、QRコード決済に対応したウォレットSoftware as a Service(SaaS)システム「ウォレットステーション(for Banking and Retail)」をマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で提供を開始する。
これにより、キャッシュレス化に柔軟に対応するだけではなく金融機関による購買データ活用を支援する。特に、Microsoft Azureが提供する「Azure Backup(※1)」や「Traffic Manager(※2)」を用いることで、大規模災害発生時にも24時間365日稼働を実現する。
また、金融機関における基幹システムや外部サービスとの接続を「ExpressRoute(※3)」により実現し、要求や厳しい監査にも応える仕組みを「Azure Monitor(※4)」の導入により実現する。
さらに、インフキュリオン・グループはウォレットステーションを構築した知見を活かし、日本マイクロソフトの「MPN for Industry パートナープログラム」が提供する「Intelligent Banking」インダストリー リファレンス アーキテクチャー(※5)の策定に協力した。同協力はMPN for Industry パートナープログラムの金融業種でのリファレンス アーキテクチャー提供の第1弾の取り組みとなる。
このIntelligent Banking インダストリー リファレンス アーキテクチャーでは、Society 5.0におけるキャッシュレスかつコネクテッドな環境から生まれる経済活動データを活用するためのクラウドおよびAI基盤技術とデータ構造を定義し、金融機関のデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する。
今後は両社の協業により、新規プロダクト開発をアジリティ高く実現するための「Azure DevOps(※6)」の適用拡大や、学習済みAIである「Cognitive Services(※7)」を活用した画像解析による新たな決済体験の創出等、様々なAzureテクノロジーを駆使しながら事業開発を進めていく。
さらに、協業第2弾として金融機関による加盟店向けのダッシュボード機能・融資申請機能の提供を2019年内に開始する。また、Intelligent Banking インダストリー リファレンス アーキテクチャーを活用したエコシステムの構築に関する取り組みも促進し、MaaS(Mobility as a Service)プラットフォーマーや小売・流通企業などとの連携など業種間連携によるSociety 5.0の実現に寄与する。
また、インフキュリオン・グループは今回の協業により、Azureを活用した次世代金融プラットフォームビジネスで、全国の金融機関まずは銀行30行の導入を目指す。
※1 Microsoft Azureの管理機能で、オンプレミス サーバー、仮想マシン、仮想化されたワークロード、SQL Server、SharePointサーバーなどのデータを保護できる。
※2 Microsoft Azureのネットワーク機能で、高パフォーマンスと高可用性のために着信トラフィックをルーティングする。
※3 Microsoft Azureのネットワーク機能で、Azureへのプライベート接続を実現する。
※4 Microsoft Azureの監視機能で、Azureとオンプレミス環境からテレメトリ データを収集、分析し、データに基づいて行動を起こす。Azure Monitorを使用すると、アプリケーションのパフォーマンスと可用性を高め、問題を数秒で事前に特定できる。
※5 日本マイクロソフトの「MPN for Industry パートナープログラム」において、Microsoft AzureベースのAIやIoTなどを活用した、業種毎に最適化したソリューションをテンプレート化して提供することで、顧客のデジタルトランスフォーメーションに必要な工数や費用を最小化し、迅速に差別化したサービスの開発やビジネスの展開を可能にするためのマイクロソフトの取り組み。
※6 Microsoft AzureのDevOps機能。
※7 Microsoft AzureのAI機能で、開発者が直接的なAIまたはデータサイエンスのスキルや知識がなくてもアプリケーションを構築することができる。
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