近年、システムの状況をリアルタイムに可視化して安定稼働につなげる「オブザーバビリティ(可観測性)」という概念が注目されている。
しかし、システムの細分化や多様化に伴い、監視、ログ収集などの運用管理ツールも多岐にわたる場合が多く、情報収集や原因の特定に時間を要するといった課題があった。
そこで、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は、同社が開発したシステム運用における情報収集・連携を効率化するクラウドサービス「StageCrew(ステージ・クルー、旧名 PITWALL)」に、システムの稼働状況を自動で分析する新機能を追加した。
「StageCrew」は、システム監視やログ収集を担う各種ツールと連携し、情報収集の効率化やインシデント発生時の対応フローの可視化などにより、オブザーバビリティを向上させるクラウドサービスだ。
今回新たに、管理ツールごとに収集、可視化しているダッシュボードデータなどを、マルチモーダルAIが自動で統合、分析する機能を追加した。トラフィックの増減やエラーの発生回数など、複数の管理ツールを横断して比較・分析する。
例えば、アクセスが集中しているAPIの特定、データベースの使用率と性能の傾向の分析などを指示するプロンプトを入力することで、システムの過去データとの比較や、類似する事象の抽出を自動で行う。

あわせて、マルチモーダルAIを効果的に活用するためのプロンプトの最適化をはじめとした、導入後の運用支援サービスの提供も開始する。
プロンプトの最適化では、AIが質問の意図を正しく理解できるよう、入力文を分かりやすく調整し、期待する出力や制約条件を明確にすることで、より精度の高い回答を引き出せるようにサポートする。
加えて、横断するシステムの確認ポイントの標準化、ナレッジ活用した対応力の強化、運用業務の継続的な改善などの支援も行う。
価格は税抜き年間480万円で、対象はシステム開発、運用チームが一体となって、システムを運用しながらサービスの開発を行うDevOpsに取り組む日本国内および北米の企業を中心に展開するとのことだ。
なお、今回のマルチモーダルAI連携機能のリリースとともに、ナレッジ共有や人材育成に特化したエントリープラン「Knowledge Edition」も追加された。
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