北陸電力送配電株式会社では、北陸地方で頻発する「冬季雷」による送電設備の点検方法とその費用が課題となっていた。冬季雷とは、北陸地方特有の冬の雷のことで、雷雲が夏よりも低空で形成されるため、同じ場所へ短時間に何度も落雷するという特色があり、夏の雷の数百倍ものエネルギーを持つものも多くある。
送電線への落雷を防止するために、「架空地線」と呼ばれる、避雷用の電線を設置しているが、同社では、落雷による架空地線の素線切れやアーク痕などの設備損傷箇所を把握するために、定期的に架空地線点検を実施している。

具体的には、1年に450kmずつ、5年にかけて点検対象の総距離2300kmをヘリコプターから撮影し、撮影後は動画を持ち帰り目視点検を実施している。しかし、同社管内においてヘリコプター事業を撤退する企業が現れ、従来の点検手法の継続が課題となっていた。
こうした中、北陸電力送配電株式会社は、同社管内の架空地線点検業務への本格運用を目指し、ブルーイノベーション株式会社の送電線ドローン点検ソリューション「BEPライン」の導入検証を実施すると発表した。
今回導入した「BEPライン」は、たわみや揺れのある送電線に沿ってドローンが自動追従飛行し、点検に必要な各種データを撮影・取得するものだ。
現在の点検品質を保ち、かつ点検員が容易に扱えるような機材で架空地線の点検ができることに加え、限られた期間の中でも利用できることから採用された。
導入検証では、北陸電力送配電が保有するDJI製のドローン「Matrice 300 RTK」に、「BEPライン」の専用モジュールを取り付け、架空地線の点検を実施した。

その結果、ヘリコプターで撮影した画像を持ち帰り目視点検を行っていた従来の点検方法より、コストや労力が抑えられたほか、リアルタイムでの目視点検が可能となり、ドローン操縦に慣れていない点検スタッフでも点検ができたのだという。
今後同社では、今回の検証結果をもとに、本格運用に向けた検討を進めるとしている。
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