自動運転の進化やMaaSに注目が集まる中、街やコミュニティ内での実運用が待ち望まれている。その実用化への一歩として、パナソニック株式会社は大阪府門真市の本社エリア内において、社員向けの自動運転ライドシェアサービスの運用を開始した。
本社エリアには1万人以上の社員が勤務しており、468,400平方メートルの敷地内で建屋をまたぐ頻繁な移動が発生している。同サービスにより構内移動に伴う肉体的負担や心理的負担、移動時間による経済的損失といった課題を解決し、社員の会社生活を向上することを目指す。
同サービスは、人が行き交う環境において、怖さを感じにくい自動走行を実現するほか、実験フェーズとは異なり、開発者などの専門の人員ではなく総務部門の担当者が常時、運用を実施する。ライドシェアルート1周の距離は2.4km(所用時間は約21分)で、需要に応じたフレキシブル運行(最大4台 最短10分間隔 最大40往復)で実施される。平日の9:20~16:30に運行し、利用方法は専用アプリや専用サイトからの予約制となっている。
また、サービスとして運用するために、自動運転車両の導入に加えてパナソニックは3つのコアシステムを開発している。
- 人にやさしい自動走行システム
- あんしん遠隔監視・操作システム
- かんたん運行管理システム
低速・小型の車両を用い、パナソニックのディープラーニングによる人認識技術を活用した自動走行システムを開発した。人とモビリティが混在するエリアでも人にやさしいサービスの実現を目指す。
パナソニックのTV会議システム「HDコム」に使われている通信帯域推定技術によるAV伝送と、車載セキュリティ技術を適用し、ドライバレス自動運転に必要な遠隔監視・遠隔制御を実現した。
サービス提供の中で得られる様々なヒヤリハットデータなどを分析・予測し、運行オペレーションの危険検知を支援する、かんたん運行管理システムを構築した。自動運転の深い知識を必要とすることなく、少人数でも管制業務を遂行できる。
その他にも、導入エリアでのニーズ分析に基づき、インフラとして持続的な運用ができるサービスを設計した。これにより、サービス開始後も利用実態分析を継続し、新たな乗り物の導入や運行方法の見直しなど、利用者やコミュニティのニーズに応じてサービスを対応することができる。
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