地域におけるバスやタクシーといった自動車交通は利用者の減少や運転士不足などの問題を抱えており、効率的で持続可能な公共交通サービスの再構築が課題となっている。
西日本鉄道株式会社と三菱商事株式会社が共同で出資するネクスト・モビリティ株式会社は、AI活用型オンデマンドバス「のるーと」のオペレーションの仕組みや導入・運営ノウハウの全国展開(ソリューション提供型事業)を開始する。
のるーとは、利用者のリクエストに応じて適宜ルートを設定しながら運行するオンデマンド型の乗合交通サービスである。AIが利用データを蓄積・学習することで、より効率的な運行を実現する。また、車両定員が10名以下なので普通二種免許での運転が可能だ。これにより乗務員採用の裾野が広がり運転士不足の解消が期待される。
2019年4月よりアイランドシティ地区で運行を開始し、現在では壱岐南地区を含めた二つのエリアで運行している。決済方法は現金と交通系ICカードに加えて、アプリを利用すればクレジットカード・デジタル乗車券での決済も可能だ。なお、配車・運行管理システムはカナダのスペアラボのものを使用している。
また、のるーとの利用方法は以下の通り。
- 専用アプリ「のるーと」をインストールし、会員登録
- 出発地・目的地を設定し、配車予約
- アプリから案内された時刻にミーティングポイントにてバスを待つ
- 乗車時に運転士へ予約番号を伝え、運賃を支払う
- 目的地付近のミーティングポイントにて下車
今回、ネクスト・モビリティはAI活用型オンデマンドバスの導入を希望する全国の地域・交通事業者に対し、以下の支援を行うとしている。
- オンデマンドバスを導入するにあたっての計画の立案や導入の支援、利用者拡大に向けた支援
- 事業を始める前の事業計画の立案を支援
- システム導入時の設定、関係機関との調整を支援
- 車両改造や車載器などの手配を支援
- ミーティングポイント(乗降場所)の設置や導入台数など運営上のアドバイス
- 利用状況や利用者の声をもとにした改善策の提案
- スペアラボの配車・運行管理システムの提供
のるーとのサービスは従来の定時定路線のバスではサービスが困難であり、時間帯・経路を限定しない柔軟な運行を求められるような地域に効果的であると見込んでいる。のるーとの導入によって、多様なニーズへの対応による利便性向上や車両の小型化などによるコスト削減を図る。また、国土交通省においても2020年2月に補助制度を新設するなど、のるーとのようなAI活用型オンデマンド交通の導入を推進している。
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