近年、EVは走行時に二酸化炭素を排出しないため「SDGs」や「EV100」への関心が高い企業や自治体から特に注目されている。しかし、車両導入コストや航続距離などが課題とされ、日本国内においてEVはまだ十分普及しているとは言えない状況である。
株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)と株式会社DeNA SOMPO Mobilityは、企業向けのEV車両から得られたデータをクラウド上で管理、解析することで、法人における車両利用用途に合致したEVの導入を支援する「企業向けEV導入ソリューション」の提供を目指して、2020年10月3日より東京電力パワーグリッド株式会社の協力のもとEVを用いた実証実験において一部の検証を10月3日より開始予定と発表した。
同ソリューションの具体策は以下の通り。
- 車両活用最適化
- EV導入コストの低減
- EV運用管理
企業の車両の活用最適化方策として、まず現在利用している車の車種、車型、年式、用途、利用記録等の基礎データを各種観点から分析し、現在の需要を満たす最適車両台数、車種構成、EV転換可能な車両などを明らかにする。さらに、休日など車両の非稼働時にはカーシェアによってコスト低減をはかるなど、EVの導入から運用に至るまでの総合的な提案を行う。
従来は利用期間中のバッテリー劣化や利用環境における航続距離性能が不明などの理由で普及が進まなかったリユースEVやリボーンEV(※)を安心して活用できるソリューションの提供を行い、EV導入コストの削減を目指す。
具体的には、まず個々に劣化状態が異なるリユースEVの情報(年式、車型、走行距離、車体色、キズ、バッテリー状態ほか)を集約・管理する「EVクラウドデータベース」を構築する。次に、利用者の利用環境や用途から利用期間中の車両劣化(車体・部品・バッテリー等)を推定する独自アルゴリズムを用いて、利用者の用途にマッチしたリユースEVを選抜する。
リユースEVやリボーンEVを日常的に不安なく利用してもらうため、バッテリー残量や航続距離などEVから得られたデータをクラウド活用によりリアルタイムで見える化する。さらに、EVのみならずEV充電器、EV給電器、蓄電池などの関連機器データを集約、可視化することで、カーシェアリング、自治体の防災・エネルギーシステム等との連携を目指す。
両社は今後、一連の同ソリューションを提供するために、東京電力パワーグリッドの社内実証の場を用いてバッテリーの劣化推定を行うための車両データ収集基盤を構築すると共に、バッテリー残量、航続距離、充電状況などを可視化するシステムを提供し、運用検証を行う。
さらに、各種データの見える化機能を応用し、同社の東京都江東区の敷地内駐車場にあるEVを休日に近隣住民にもカーシェアリングする実証実験も行う。カーシェアリングにはDeNA SOMPO Molilityが提供するカーシェアリグサービス「Anyca」を活用する。
また、今回のソリューションの特徴であるEVと関連機器の情報がクラウド上で一元管理される特性を活かし、今後は平時における各種イベント用電源利用や災害時における非常電源利用など「動く蓄電池」としてのEV活用も検討していく予定とした。
※ リボーンEV(Reborn EV):大幅に劣化したバッテリーを廉価なリユースバッテリー(複数台の中古バッテリーから良質なバッテリーモジュールのみを選抜して再パッケージ化したもの)に交換することで航続距離性能を再生させたEVのこと。
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