芝浦工業大学と日本電気株式会社(以下、NEC)は、センサ、カメラ、AIなどを活用し、複数の自動運転シニアカー(電動カート)を遠隔監視・制御する実証実験を、さいたま新都心駅周辺の歩行者デッキと商業施設で、2023年9月11日~15日に実施する。
この実証実験では、商業施設内に設置したLiDAR(※)のセンサ情報およびカメラ映像と、シニアカーに搭載したカメラ映像を統合分析し、自動運転シニアカー2台を遠隔監視・制御する。
※LiDAR(Light Detection And Ranging):レーザ等の光を対象物に照射し、その反射光を捉えることで、その対象物までの距離や輝度を測定し、対象物の形状・輝度を読み取る技術。

また、これを実現するために、NECのAIであるアプリケーションアウェアICT制御技術を活用する。
この技術は、カメラ映像内の分析すべき重要領域を予測・抽出し、重要度、データ量、通信品質の状況に応じて分析処理をシニアカー搭載の小型コンピュータとクラウドに動的に割り振る。
これにより、常に変化する混雑エリアの状況を把握して、急接近する人物や見通し外の状況を考慮し、適切な事象に対するアラート通知や緊急停止が可能となる。
また、走行するシニアカーに対し、周囲の人物の影響の有無を判定する映像分析AIを開発することで、安全性を過度に考慮した頻繁な停止を防ぎ、効率的な自動運転を実現する。
これらは、既に利用されているシニアカーに、カメラと映像処理・通信用の小型コンピューターを追加搭載することで導入が可能だ。
なお、自動運転に未対応のエリアを想定し、さいたま新都心駅周辺の歩行者デッキを手動運転で走行するシニアカー2台の遠隔監視についても実証を実施する。
芝浦工業大学は、今後、自動運転シニアカーの実用性を高める研究を進めると共に、LiDARを遠隔監視に応用した研究を提案していく。
さらに、芝浦工業大学発ベンチャー企業である株式会社ハイパーデジタルツインへの技術提供を行うとしている。
NECは、実証で得られる知見を活かし、将来的には商業施設、鉄道、空港などを運営する事業者や、公共施設を運営する自治体などに対して、自動運転車両の運行監視システムやサービスを提供することを検討している。
なお、今回の実証実験は、さいたま市が後援している。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。