NEC、AIでモビリティに適したマルチパス通信を最適化する技術を開発

モビリティ市場では、アプリケーションごとの品質を高信頼に保つモバイルネットワークが重要だが、場所・時間・移動状況において一度として全く同じ通信状況に遭遇することはなく、最適解を予測することは困難であった。

そのため、遠隔監視や車両制御など複数のアプリケーションにおけるすべての品質を高信頼に保つには不確定要素が多く、課題があった。

こうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)は、コネクテッドカーや鉄道、ドローンなどの移動体に安定した通信を提供する、モビリティに適したAIによるマルチパス通信の最適化技術を開発した。

この技術は、移動や輻輳によって時系列的に大きく変動する帯域を高精度に予測し、複数の車外通信を融合する。車の特性や優先度といった通信要件に応じて最適に再分配することで、限られた帯域でも多様なサービスを効率的に収容しつつ、通信品質を確保することが可能だ。

NEC、AIでモビリティに適したマルチパス通信を最適化する技術を開発
技術の構成

具体的には、アプリケーションレベルの品質の充足度を高精度に予測し、コネクテッドカーなどの移動体側でリアルタイムにマルチパス通信の適切な経路を選択する。

活用しているのは、「応答性能」「QoE(Quality of Experience)」「コスト」「周辺環境」の4つの要素に基づく経路選択技術と時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術だ。

また、マルチアプリケーションを同時に利用した場合やマルチパス通信の経路切り替え時、接続している基地局を切り替えるハンドオーバー時でも、遠隔監視、車両制御、エンタメなどアプリケーションごとの特性と、モバイル回線、衛星回線、Wi-Fiの回線特性に合わせた制御により、影響を最小限に抑えることが可能だ。

さらに、各エリアで収集した通信品質情報を基に、時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、回線ごとのQoEを抽象化し、品質とコストを最適化する回線の組み合わせを導出することが可能だ。

これにより、モビリティ基盤側で、移動経路・環境条件・使用アプリケーションに合わせた経路選択が算出することができ、RSP(Remote SIM Provisioning)などの技術と組み合わせることで、エリアごとに最適な通信環境を構築することが可能になる。

今後NECは、同技術を用いたソリューションの開発を進め、2025年度内に実用化することを目指すとしている。

なお、同技術は、2025年6月11日~13日に幕張メッセで開催されるインターネットテクノロジーのイベント「Interop Tokyo 2025」で展示される予定だ。

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