鉄道車両の保守においては、定期的な点検を通じて安全性を担保してきたが、これまでは稼働データの取得が担当者の現地確認のタイミングに依存しており、継続的なデータの収集と分析に課題があった。
こうした中、九州旅客鉄道株式会社(以下、JR九州)は、車両機器の状態を継続的に監視し、CBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)へと移行するための新たなデータ収集・分析基盤を構築した。
同基盤の通信環境は株式会社ソラコムが提供しており、鉄道車両から取得した種々の稼働データをクラウドに常時集約して時系列データとして分析し、機器の監視や故障予兆を検知する。
ソラコムの「AI/IoTプラットフォーム」を活用して空調やドア、電力装置などの稼働データを走行中にリアルタイムで収集・分析することで、機器の故障予兆を正確に把握し、従来の定期点検中心の保守からCBMへと移行することが可能だ。
具体的には、既存の車両にIoTゲートウェイを設置し、ソラコムの通信用SIM「SORACOM IoT SIM」を利用してセルラー通信でクラウド環境(AWS)へデータを送信する。
SIM認証によって通信経路の安全性を確保しつつ、ソラコムのサービスからクラウド連携用の認証情報を管理・付与することで、デバイスごとの個別設定を抑えながらAWSとの連携を簡素化している。
これにより、常時走行する車両から安定してデータを送信し、時系列データとして蓄積・分析することが可能となった。
JR九州は今後、同基盤の運用を通じて車両保全のCBM化を推進し、より安全で効率的な鉄道オペレーションの実現を目指すとのことだ。
さらに、収集したデータの活用範囲を現在の車両オペレーションにとどめず、運転業務の支援や輸送ダイヤの分析などへと拡大し、鉄道事業全体のデータ駆動型経営を加速させていく方針だ。

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