Amazon Web Services, Inc.(以下、AWS)は、5つの新しい機械学習サービスである「Amazon Monitron」「Amazon Lookout for Equipment」「AWS Panorama Appliance」「AWS Panoramaソフトウェア開発キット(SDK)」「Amazon Lookout for Vision」を発表した。
- Amazon Monitron
- Amazon Lookout for Equipment
- AWS Panorama Appliance
- AWS Panoramaソフトウェア開発キット(SDK)
- Amazon Lookout for Vision
Amazon Monitronは、センサー、ゲートウェイ、機械学習サービスで構成されるエンドツーエンドの機械モニタリングソリューションを提供し、メンテナンスが必要な機器の異常を検知する。工業・製造環境で使われるベアリング、モーター、ポンプ、コンベアベルトなど、さまざまな回転装置に使用可能とのこと。
既存のセンサーネットワークがない企業は、同サービスにより異常を検知して産業機器のメンテナンスが必要な時を予測することができる。また、振動や温度などの異常な変動をもとに機器が正常に動作していない時を検知し、予防的メンテナンスが必要かどうかを企業が判断できるよう、点検すべき時を知らせることができる。
エンドツーエンドのシステムには、振動と温度のデータを取得するIoTセンサー、データを集計してAWSに送信するゲートウェイ、設備の異常パターンを検知し、数分で結果を届ける機械学習クラウドサービスが含まれており、企業は機械学習もクラウドの経験も不要だ。
Amazon Lookout for Equipmentは、既存の機器センサーを利用している企業がAWS機械学習モデルを使用できるようにし、センサーのデータをAWSに送信することで機器の異常を検知および予知保全を実現する。
具体的には、まず企業はAWSが提供するオンラインストレージのWebサービス「Amazon Simple Storage Service(以下、S3)」にセンサーデータをアップロードし、S3のロケーションを同サービスに提供する。そしてデータを分析し、正常もしくは健全なパターンを評価し、それら全データを使用した学習結果から、企業の環境向けにカスタマイズしたモデルを構築する。構築された機械学習モデルを使って、既存センサーから入ってくるデータを分析して、マシン故障の警告サインを早期に特定する。
これにより、企業は予知保全を行うことができ、経費の節約、生産性の向上、そして製造工程での故障防止に寄与する。
AWS Panorama Applianceは新しいハードウェアアプライアンスで、企業がすでにデプロイ済みの既存のオンプレミス型カメラにコンピュータビジョンを追加することができる。同サービスを自社のネットワークに接続して起動すれば、デバイスが自動的にカメラストリームを認識し、既存の産業用カメラとの交信を開始する。
また、AWSの機械学習サービスをエッジに拡張し、ネットワークがない現場で企業が利用することもできる。同サービスはコンピュータビジョンモデルを複数のカメラストリームに平行して実行することができるため、品質管理、パーツの識別、職場の安全確認などの用途に使用可能とのことだ。
AWS Panoramaソフトウェア開発キット(SDK)は、産業用カメラメーカーがコンピュータビジョン機能を新しいカメラに組み込むことができるサービスだ。
同サービスを使用して構築されたカメラでは、高速で運転しているベルトコンベア上の破損したパーツを検知したり、機械が指定された作業区域以外のところにあることを検出したりといった用途にコンピュータビジョンモデルを使用できる。こうしたカメラは、NVIDIAやAmbarella製のコンピュータビジョン用チップの使用が可能だ。
同サービスを使うことで、メーカーは問題を見つけるための高解像度の高品質ビデオを処理できるコンピュータビジョンモデルをカメラに搭載することができる。またイーサネットで電源を供給し、現場周辺に設置するような低価格のデバイスに、より高度なモデルを構築することも可能とのことだ。
Amazon Lookout for Visionは、AWSが学習させたコンピュータビジョンモデルを元に、画像やビデオストリームを使って製品もしくはプロセスの異常や欠陥を検出することができる。異常や欠陥を見つけるために、1時間あたり何千もの画像処理が可能な機械学習を使用している。
企業は機械部品の亀裂、パネルのへこみ、不規則な形、製品の色間違いなどの異常を識別できるよう、まとめてもしくはリアルタイムでカメラの画像を同サービスに送信する。これにより、同サービスが基準値から外れた画像を報告するので、企業側は適切に対処できる。
また、作業環境の変化によってカメラアングル、ポーズ、照明などが変わっても対応する。その結果、基準値となる「合格」画像を30枚提供するだけで、企業は正確にかつ一貫して機械部品もしくは製造している製品を評価できるという。
これらのサービスにより、工業や製造業の企業が生産工程にインテリジェンスを組み込むことが可能となり、業務効率、品質管理、セキュリティ、職場の安全性の向上に貢献する。
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