日立、医薬品の効果を示すバイオマーカーを探索するAI解析サービスを提供開始

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同じ病気の患者においても、医薬品の薬剤の効き方や生活の質を悪化させる有害事象の発生有無には個人差があることから、近年、患者個人の体質や病気の状態に合わせた「個別化医療(オーダーメイド医療)」の実現に向けた研究・開発が進んでいる。

こうした中、患者ごとに適切な治療を選択するため、治療の有効性・安全性を適切に評価する、タンパク質や遺伝子などの生体内指標「バイオマーカー」を、さまざまな患者データの中から探索する研究が盛んに行われている。

一方で、膨大なデータの組み合わせから高精度に予測できるバイオマーカーを人力で探索することは難しく、また医薬品の開発においては、分析結果の根拠の提示が必要とされるため、説明可能なAIが求められる。

そこで、株式会社日立製作所(以下、日立)は、、医薬品の効果を示す生理学的指標「バイオマーカー」を探索するサブスクリプション型のAI解析サービス、Hitachi Digital Solution for Pharma/ヘルスケアデータ解析プラットフォーム「B3 Analytics(ビースリー アナリティクス)」を、2023年4月から提供開始する。

「B3 Analytics」は、医療機関や製薬会社における医療開発などで活用されるLumadaソリューションの一つであり、2019年10月に提供を開始した「Hitachi Digital Solution for Pharma/バイオマーカー探索サービス」の基盤技術として、日立が開発した独自の説明可能なAI「B3」の利用を、サブスクリプションサービスとして提供するものだ。

「B3 Analytics」は、人体の遺伝子情報や電子カルテなどの医療データから、医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡便な数式を組み立てることで、医薬品の効果を表す指標であるバイオマーカー候補を自動生成する。

「B3 Analytics」を活用することにより、ユーザが管理・保有するデータを用いて、ユーザ自身が、クラウド上で日立の「B3」による解析を行うことができる。

また、大学や公的研究機関、自治体などを含めたさまざまな研究者が利用しやすくなることで、パンデミックの際の新薬開発・治療につながることも期待されている。

日立は、「B3 Analytics」を医療・医薬分野向けに提供することにより、個別化医療の実現および医療費の適正化などへの貢献を目指す。また、将来的にはサービスを診断・予防などの創薬以外の領域にも適用すべく、機能を拡充する予定だ。

「B3 Analytics」の特長

サブスクリプションサービス

ユーザ自身で、「B3」を搭載した解析環境を操作することで、解析実行~結果確認を繰り返して考察・検証が行える。月額利用(※)で使いたい時に、使いたい分だけ利用ですることができる。(※契約は最短3か月から可能)

AIが導き出した結果を説明可能

「B3」は非線形な解析モデルをシンプルな線形モデルで表現することが可能なため、「AIがなぜその答えを出したのか」を人が解釈しやすく、医療や創薬の現場での意思決定に有効だ。

医療データのサンプルサイズが小さくても解析が可能

医療領域では、症例数が少なく、かつ、データ項目の種類(次元数)が「数千~数十万」と膨大になる場合がある。「B3」は独自の次元圧縮・過学習抑制の機構を組み込んでおり、小サンプル・高次元のデータでも精度を保った解析が可能だ。

マルチバイオマーカーの探索に対応

臨床現場において、病態生理が複雑な疾患、不均一性が高い疾患などに対する予測性能を高めるための、複数因子を組み合わせたバイオマーカー(マルチバイオマーカー)の探索にも対応している。

製薬会社や医療機関での利用実績

「B3」は国内の大手製薬企業や研究機関で、リスク因子探索などの用途での利用実績がある。

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