医療現場では、「医師の働き方改革」に伴い医師の業務を他職種へ移管するタスクシフトが進む一方で、医療従事者全体の労働環境改善が急務となっている。
さらに、2026年度の診療報酬改定において「医療DX・データ活用」への評価が強化される中、持続可能な医療提供体制の構築に向けた抜本的な業務効率化が求められている。
沖縄県の健康医療拠点の中核を担う琉球大学病院においても、医師や看護師をはじめとするスタッフが退院サマリーなどの診療記録の作成に多大な時間を割かれており、医療の質と安全を確実に担保するための仕組みづくりが課題となっていた。
こうした中、琉球大学病院は、Ubie株式会社が提供する「ユビー生成AI」を導入し、臨床研究支援から日常業務まで複数部門にわたる業務変革を進めていることを明らかにした。
同院の取り組みでは、プロンプトのカスタマイズ自由度が高い生成AIを活用し、現場の具体的な課題に合わせた業務効率化を実現している。
例えば、臨床研究を支えるCRC(治験コーディネーター)のレジストリ登録業務においては、従来は膨大なカルテを通覧しながら数十項目の情報を手作業でデータベースへ入力しており、1時間あたりの処理件数は1.85件にとどまっていた。
しかし、生成AIを用いてカルテから必要情報を整理した上で確認・入力する運用に変更した結果、1時間あたりの処理件数が4.31件へと2.33倍に向上し、業務負担が大幅に軽減された。

さらに、医師が患者に行うインフォームドコンセント(IC)の説明内容についても、適切なプライバシー保護と患者の同意を得たうえでAIが音声から文字起こしを行うことで、記録作成の手間を解消している。
すでに利用している医師からは高評価を得ており、複数の診療科や職種への展開が進んでいるとのことだ。
琉球大学病院は今後、生成AIの活用を全診療科へ展開していく計画だ。
また、院内のスタッフ間で積極的なレクチャーや事例共有を行うとともに、電子カルテとのデータ連携をさらに深めることで、業務の自動化と精度向上を図っていくとしている。
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