大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、施設などの建築と並行して、建築用のデータを基にバーチャル空間「メタバース」を構築し、現実とバーチャル両空間の連動による、企業と生活者のコミュニケーションなどを支援するサービスを、6月に開始することを発表した。
DNPは、バーチャル空間を構築するXRロケーションシステム「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」を提供しており、今回その機能を拡充し、メタバースの企画から構築・運用までトータルに支援サービスを提供する。
今回発表されたサービスでは、建築関連の3次元データに加え、各室の名称・面積、材料・部材の仕様などの属性情報をあわせ持つBuilding Information Modeling(BIM)データやCADデータ、3次元座標値・色情報で構成される「点群データ」など、さまざまな建築・設計データを基に、最短2カ月からメタバースを構築することが可能だ。
メタバースに参加できる人数は、最大1,000名までで、就職説明会や国内外の社員が集まる大型イベントなどに利用することができる。
また、参加者同士が会話できる音声チャットや画面共有の機能、イベントに合わせたクイズパネルなどの機能も提供する。
さらに、メタバース参加者の属性や利用回数、コンテンツ視聴回数などを把握・分析することもできる。
メタバース上で関心が高かったコンテンツや体験企画などを参考にして、リアルの施設を活用した企画の設計やマーケティング、各種イベントとの連動が可能になる。
このサービスにより、完成前のリアル施設をバーチャルで公開し体験することができ、完成後の施設を遠方の顧客や社内外の関係者によるバーチャルの利用など、社員のエンゲージメント向上や顧客とのコミュニケーションの活性化につなげる。
なお、DNPは、同社の本社がある東京・市谷地区の再開発を進める中で、2022~2023年に、自社ビルの建築データを活用したメタバースを構築し、「メタバース納会」や「社内向けイベント“未来づくりミーティング”」を開催している。

これらのイベントに参加した社員のアンケートからは、「約6割の社員が満足」「約7割の社員がポジティブな気持ちになれた」など、エンゲージメント向上やコミュニケーション活性化の成果が出ており、こうしたノウハウなども、今回のサービス開発に活用されているのだという。
今後は、DNPが開発中の、生活者個人を特定するアイデンティティ情報と、アバター情報の管理・認証を可能にする「PARALLEL ME」と今回のサービスを連動させ、利用者の個別認証も可能にしていく予定だ。
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