医薬品の卸会社等は、卸センターから支店、支店から薬局に製品を輸送する際、内容物の確認を行っている。また、医薬品等は運搬時に指定温度を確保する必要があるため、断熱性の高い輸送用のボックスを利用する。
内容物確認作業の際、従来の断熱ボックスは水蒸気や酸素などを通しにくいアルミ等の金属を蒸着したフィルムを含む真空断熱パネルを使用しており、その金属が電波を遮断してしまうため、ICタグや温度センサーの無線通信での読取りはできない。
そのため、内容物の確認のために断熱ボックスを開けなければならず、内部の温度をいかに維持するかという課題があった。
本年7月3日、大日本印刷株式会社(以下、DNP)とva-Q-tec AGは、ボックスを開けることなく、中に入っている製品に貼付されたICタグの情報や温度センサーを外から読み取ることで、ボックスの内容物の確認や温度管理ができる電波透過型の断熱ボックスを共同で開発した。
両社は2020年に、この電波透過型断熱ボックスを、適切な温度管理が求められる医薬品などの輸送用に発売する。
今回の断熱ボックスの開発では、DNPがエレクトロニクス分野や産業用途で培った水蒸気や酸素等への高いバリア性を持つ「DNP透明蒸着フィルムIB-Film」や真空断熱パネルで培ったノウハウを提供し、va-Q-tecが真空断熱ボックス技術を提供したことで、電波の透過を可能にした。
両社はこの断熱ボックスの活用で、医薬品の品質安定とすり替えなどの偽薬防止対策が期待できるとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
膨大な記事を効率よくチェック!

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。