昨今、都市の再開発や無電柱化対策など地下空間の利活用が積極的に行われている。一方で、道路下の地下空間には水道管、ガス管、下水道管および電気・通信線などさまざまな埋設管が存在するものの、それらの管理は個々の事業者で行われているのが実情である。
加えて、古い配管などは正確な位置が図面等に残っていない、またはその位置情報に誤りがあるなどのケースも存在している。さらに、管理されていない残置管、鋼矢板などの残置物や空洞等の存在も工事を行う際には大きな支障となる。
そこで、株式会社日立製作所(以下、日立)と、応用地質株式会社は、日立のLumadaによる画像解析技術およびクラウドサービス基盤と、応用地質の持つ三次元地中探査技術および分析ノウハウを組み合わせ、地下の埋設物情報を取得し、プラットフォーム上で統合管理、顧客の必要な埋設物情報を提供するサービスの協業に向けた覚書(Memorandum of Understanding)を締結した。
今回の覚書をもとに、今後両社は公道および歩道の埋設物の位置取得をはじめとし地下埋設物情報について顧客の現状業務に対する提供価値を検証する実証実験を通じて、同サービスの事業化を推進する。
同サービスは、現状の位置・属性等の地下空間情報を独自に収集、データベース化・三次元可視化し、地下情報を必要とする上下水道、ガス、電気、通信などの道路占用事業者、設計事業者、施工会社などに対して、統合的な地下埋設物の情報を提供することが可能である。
地下埋設物の情報は、応用地質が保有するレーダ探査装置、GNSS・カメラ(位置検出用)等を搭載し、最大時速60kmでレーダ探査が可能な埋設物探査車両にて対象となる地域の調査、レーダをはじめとする各種画像、位置情報を収集し、その情報を日立が保有するデータ、画像解析技術により、埋設管・構造物・地質境界などの埋設物情報を自動判別する。
解析した埋設物に関する情報はサービスプラットフォームを通じて、必要な時に、必要な場所の情報を閲覧することが可能であり、従来は困難であった地下埋設物の情報提供をオンデマンドで行うことができる。
これらの地下埋設物の位置情報が提供されることにより、工事計画および設計の効率化、施工時における試掘作業の効率化ならびに配管損傷事故の抑制等が可能となり、また漏水復旧などの緊急工事、災害時においては総合的に配管位置を把握することで復旧作業を迅速化することが期待される。
さらに、別途日立が取り組む「社会インフラ保守プラットフォーム」および応用地質が取り組む「地盤情報ICTプラットフォーム」と連携することにより、埋設物の長期にわたる保守管理情報連携および更新計画、強靭化設計支援ならびにBIM/CIM(Building Information Modelling/Construction Information Modeling)連携も視野に入れた機能拡張を検討していく。
日立および応用地質は、2019年5月に応用地質のつくばオフィスに専用テストコースを構築し、同サービスの事業化に向けた検証を行っており、今後は2019年10月よりPoC/PoV(Proof of Value)を実施し、2020年4月以降にサービスを開始、大都市圏より順次サービス拡大を実施する予定だ。
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