スマート・ホーム・システムが直面している課題に、ファー・フィールド音声キャプチャがある。現在のシステムでは、限られたマイクの数と信号処理能力の制限から、騒音の大きい環境の中で音声コマンドを受け取って理解することは困難である。
日本テキサス・インスツルメンツは、競合製品と比較して距離が4倍離れた場所からもクリアな音をキャプチャできる新しいアナログ/デジタル・コンバータ(ADC)を発表した。このADCは、3種類の製品からなるTIの新しいBurr-BrownTMオーディオADCファミリに属しており、騒音の大きい環境での低歪オーディオ録音が可能なだけでなく、様々な環境でファー・フィールド録音を実現する。
主な特長は以下の通り。
- 部屋の反対側からの音声でもキャプチャが可能
- ビーム形成システムでどんな環境でもクリアな音声キャプチャ
- マイクの音声に対応
- 統合機能により幅広く応用できるシステム設計を実現
- 小型で低いシステム消費電力
- システム設計コストの削減に貢献
上位モデルのスマート・スピーカーや、サウンド・バー、ワイヤレス・スピーカー、高解像度テレビ、IPネットワーク・カメラ、テレビ会議システム、スマート家電などのアプリケーションにこのADCを用いることで、小声で発せられるコマンドの認識率が向上する。
120dBダイナミック・レンジ・エンハンサ(DRE)を内蔵。システム・レベルで、DRE方式が低音量のオーディオ信号を増幅すると同時に、スピーカー出力のすぐ近くであっても歪みの少ない録音を維持。DREは同様に、あらゆる環境でファー・フィールド録音を改善した。
TLV320ADC5140はADCとしてダイナミック・レンジが106dBを超える、信号対雑音比の高いマイクに完全に対応。
TLV320ADC5140のシステムは、最大で4チャネルのアナログまたは8チャネルのデジタル・マイクロフォン(あるいはアナログとデジタルの組み合わせ)に柔軟に対応。また、マイクロフォン・アレイの不整合を均等化するゲインおよび位相キャリブレーションなどのプログラム可能な機能も搭載。
その他にも、プログラム可能なゲイン・アンプ、ハイパス・フィルタ、チャネル・ミキシング、リニア・フェーズまたは低レイテンシのデシメーション・フィルタなどの機能を装備。
TLV320ADC5140に内蔵された機能を利用することで、デジタル信号処理の負担が軽減されるため、システムの信頼性を損なわずに設計サイズを縮小することが可能。チャネルあたりの消費電力は48kHz時で9.5mWである。
Dアンプ、データ・コンバータ、オペアンプといった、TIのBurr-Brownオーディオ・デバイスの製品ポートフォリオに加わるTLV320ADC5140は、アレイのマイクの数を減らすことでシステム設計コストの削減にも貢献する。
なお、TLV320ADC5140の単価は2.99ドル(4mm×4mm、24ピンのWQFNパッケージ、1,000個受注時)である。
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