現在、新型コロナウィルスデルタ株の若年層への急速拡大により、日本でも再び遠隔授業の実施が現実味を帯びている。2020年度は日本においてGIGAスクール構想として、小中学生に学習用のPCまたはタブレットの情報端末が配備されている。
レノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ)は、日本を含むアジア地域の16~25歳の生徒学生および11~15歳の子どもを持つ保護者を対象に、コロナ蔓延後に行われた遠隔授業および学習体験についてコロナ前との比較調査を実施し、子供たちがこれらの端末を使いこなす上での課題や在宅におけるメリット、デメリットなどについて聴取した。
同調査によると、コロナの感染拡大以前、日本では遠隔授業の実施率は13%と、調査をおこなったアジアの各市場中かなり低い水準にあったが、2020年の緊急事態宣言以降に遠隔授業が一気に広まり、導入割合は51%となった。しかし、インド、香港、インドネシア、フィリピン、マレーシアなど70%を超える割合に対して低い数字となっている。
遠隔授業のメリットとして、半数以上が「自宅などの快適な場所からアクセスできる」「通学時間を削減できる」と回答しており、緊急的な措置を超えるメリットがあることが分かった。これらの数字で日本とアジア全体に有意な差はなかった。
また、遠隔授業を行うにあたり、テクニカルトラブルが発生しても日本の回答は「自分で解決する」との回答した人が32%、「クラスメイトや友人」が30%おり、「両親、その他の大人の家族」や「教師や学校関係者」の回答を上回った。生まれた時からインターネットやデジタルデバイスが身近にあったデジタルネイティブな世代であることから、多くはテクノロジートラブルを大人の手を借りずに解決できていることが推察される。この点も日本に特異な傾向は見られなかった。
一方で、遠隔授業の課題としては、「家庭では集中できない」が40%、友人と直接会えないことで孤独を感じることを挙げる人が38%いた。
児童生徒用の学習端末はGIGAスクール構想によって日本でも1人1台の体制が整備され、教育のICT化はこの1年で大きく前進している。また、デジタルネイティブな子供たちは機器のトラブルも自己解決できるなど、アジア各地区の子供たちと同様ICTを使いこなす能力が育まれていることがわかった。
一方で、遠隔授業の実施率で日本はアジアトップクラスの市場に比べまだ高いとは言えず、教育機関が配備されたGIGAスクール端末の利活用を進める途中段階にあることを示している。
現在、若年層に拡大を続けるコロナウィルスの封じ込めのために遠隔授業を徹底するには、子供たちの気分転換にもなり、かつ先生と児童生徒、児童生徒間のコミュニケーションが促進されるようなカリキュラム実施が重要になるとレノボは考えている。
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