IDC Japan株式会社は、2022年のFuture of Intelligence(インテリジェンスの未来)に関する予測10項目を発表した。これによると、企業のインテリジェンスと業績向上との間には、有意な正の相関があることが分かった。企業のインテリジェンスに投資することで、一次的なメリット(より的確な意思決定、知識の高度化、効率性の向上)を達成し、それらを基に、財務実績、従業員の業績、顧客に関する業績、提案する製品やサービスの成果が改善される結果となる。
企業のインテリジェンスは、業種や地域を問わず、あらゆる規模の企業にとって、成長を促進する重要な要因である。IDCの調査によると、企業のインテリジェンス指標が最も高いスコア帯に含まれる企業の60%で、意思決定が大幅に改善されている。
一方、企業のインテリジェンスが低い企業では、この割合が1%となっている。さらに、企業のインテリジェンスのスコアが良好な企業のうち、顧客獲得力が10%以上高くなっている企業の割合は47%だ。一方、企業のインテリジェンスが低い企業では、この割合は10%である。
米国IDC Future of Intelligence リサーチディレクター チャンダナ・ゴーパール氏は「IDC FutureScapeの予測は、今後5年間に起こる重要なトレンドを物語っています」と述べている。また「これらの予測は、同業他社を追い抜いて市場リーダーになるため、企業のインテリジェンスの強化に努めているビジネスリーダーの指針として有益です」と述べている。
Future of Intelligenceのトップ10の予測は、企業のインテリジェンスを支える、以下の4つの能力に影響するとしている。
- 情報を統合する能力
- 情報から学習する能力
- そうして得た知見を大規模に応用する能力
- 上記すべてを可能にする、テクノロジーの基盤に立脚したデータ主導型の文化
Future of Intelligenceに関する予測10項目
- Prediction 1:2025年には、Fortune 500企業の10%で科学的な手法とシステマティックな実験が大規模に導入され、その結果として製品開発およびビジネスプランニングプロジェクトが50%増加し、競合他社を上回るペースになると予測される。
- Prediction 2:2023年には、Fortune 1000企業の70%が、共通の基準・価値観・目標に基づく企業間のインテリジェンス共有に関与し、エコシステムにおける共生関係を50%強化すると予測される。
- Prediction 3:2026年までにGlobal 2000企業の40%が、知識の保持・普及と情報の統合におけるインテリジェントオートメーションの利用を2倍に増やし、データから知見へのライフサイクルに存在するスキルのすきまを埋めると予測される。
- Prediction 4:2026年には、30%の企業が行動経済学およびAI/ML(Machine Learning)主導型の知見をさまざまな形で利用し、従業員の行動を促すようになり、その結果として望ましい成果が60%増加すると予測される。
- Prediction 5:2024年には中堅~大企業の3分の2で、実力主義に基づく文化の欠如により、経営側に対する信頼が徐々に損なわれ、結果として従業員満足度が低下,離職率が高くなり、さらにはスキル不足が悪化すると予測される。
- Prediction 6:2023年には、企業のインテリジェンス構想の60%が、それぞれの企業の目的に合った固有の取り組みとなり、それによってデータから意思決定に至るまでの時間が30%短縮され、俊敏性と回復力の向上につながると予測される。
- Prediction 7:2024年には、Global 2000企業の30%がパンデミック後の自動化構想を活用し、中間管理職の役割をビジョナリー、キュレーター、コネクターのそれぞれに進化させ、総合的なインテリジェンスを促進すると予測される。
- Prediction 8:2025年には、Global 2000企業の40%が評判リスクを低くするため、アルゴリズムに基づく意思決定アプローチを再設計する必要に迫られ、より適切な人的管理を行い、説明責任を明確にするようになると予測される。
- Prediction 9:2026年にはコンピューティングの進歩により、Fortune 100企業で以前は克服できなかった問題の10%が、飛躍的に進歩した複雑なアナリティクスによって解決されるようになると予測される。
- Prediction 10:2025年には大手企業の4分の3が、局所化されたインテリジェンスと一元化されたインテリジェンスを結ぶインテリジェントな知識ネットワークおよび両者間の調和の不足により、盲点に直面することになると予測される。
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