IDC Japan株式会社は、国内エンタープライズIT市場予測を発表した。これによると2019年の国内エンタープライズIT市場規模は、前年比4.4%増の10兆8,190億円となった。また、2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.4%で推移し、2024年の市場規模は12兆7,665億円になるとIDCは予測している。
2019年の国内エンタープライズIT市場は、2018年に引き続き企業の好調な業績を背景として、多くの企業におけるシステム刷新/更新需要やビジネス強化のための新規投資が見られた。また、Windows Server 2008のサポート終了や、消費増税前の駆け込み、元号改正対応、消費税率変更対応などの特需も国内エンタープライズIT市場の成長を促進した。
現在、クラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」戦略を実行する企業が増加している。また、ホステッドクラウドを提供するためにサービスプロバイダーによる積極的な投資が継続している。これらのことから、国内エンタープライズIT市場に占めるクラウド関連の売上額割合は、2023年に50%を超えるとIDCは予測している。
2020年の国内エンタープライズIT市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、企業のIT投資が抑制されるものの「テレワーク」「BC/DR(Business Continuity and Disaster Recovery)」「デジタルビジネスの強化」などの喫緊の課題を解決するためにクラウドを活用した投資が活性化するとみている。また、インターネットを活用したビジネスに関わる支出が拡大し、同市場は前年比0.2%増の10兆8,357億円を見込んでいる。
COVID-19の影響によって、事業継続や効率化を目的としたクラウドの導入から、DX/データ駆動型ビジネスへと発展する企業のクラウドジャーニー戦略は加速するとIDCはみている。現在、多くのベンダーが成長戦略としてDX/データ駆動型ビジネスを掲げている。しかし、クラウドを活用したIT/ビジネスの効率化にリソースを割かれると共に、これまでとは異なる特徴を持つDX関連事業の遂行には課題も見られる。
IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は「ベンダーは、クラウドネイティブを積極的に推進し、企業文化の変革を支援することが重要である」と述べている。
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