ベトナムのハノイにあるBiblioCafeでは、売上を伸ばすために中間価格帯から高価格帯へのシフトや新規顧客獲得を目指す一方で、大学生利用の夏季閑散期の集客課題も抱えている。また、企業によるブロックチェーン/web3セミナー場所として使われることも多く先進的な人が集まっているが、ベトナムではブロックチェーン/web3がここ1、2年で注目されつつも、身近で使われていることはほとんどないのが現状である。
TIS株式会社が2023年の4月に立ち上げたweb3関連ビジネスを推進する専門組織「Web3ビジネス企画部」では、web3を活用した企業におけるビジョン実現に向けてさまざまな分野でのブロックチェーンを活用した事業に携わってきた。
このほどTISは、BiblioCafeでweb3技術を使ったNFTクーポンの実証実験を2023年7月19日~31日の期間で実施した。
同実証実験ではTISが全体の企画運営を行い、スタートアップ企業であるSUSHI TOP MARKETING株式会社の「NFT One Shot」を使用して、TISの出資先であるTinhVan Technologies JSC.のサポートの下、BiblioCafeにてNFTを活用したクーポン施策を実施した。各社がすでに保有している知見・技術・サポート体制を組み合わせて共創し、3社共同での事業企画議論開始からカフェでの実証実験まで約2か月で行った。
さらに、カフェでドリンクを購入したお客へは、購入したドリンクに応じてNFTを受け取るためのカードを進呈する。そのカードでスタンプラリーページにアクセスし、NFTを集めていくと、次回利用時にドリンクを無料で提供を受けることができる。進呈するカードには、一回しかNFTを発行できないNFT One Shotでカードに印刷されたQRコードを読み取ることで、NFTを取得する。
同実証実験の結果、施策を実施した7月のBiblio Café全体の売上・販売数量・平均単価は、前年同月比および閑散月と通常月との差異のいずれも改善し、売上は前年同月比で6%アップ、換算月と通常月の差異は10%改善が見られた。
また、新規来店顧客・販売数量のアップだけでなく、特定ドリンク購入でもらえるNFTを複数集めると特典が付与される施策も同時に実施し、このNFT付き特定ドリンクの平均単価はコーヒー+1.4%、ヨーグルトドリンク+2.7%と店舗全体平均を上回る単価アップを図ることができた。
これらの施策により、新規顧客獲得・販売数量アップ、売上単価アップ、閑散月対策のいずれにも寄与したものと考えられる。また、特定ドリンクは4人に1人がNFTを受け取っている。NFTを用いることで、この店舗に来れば何か面白いことに出会えるかも知れないといった期待感を今回の体験を通じて消費者へ与えたものとTISは考えている。
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