食品小売業において、生鮮品の加工を一括して行うプロセスセンター(PC)での「見込み発注」に基づく製造は、過剰な仕入れや生産を引き起こし、食品ロスの温床となっている。
また、各店舗においては、余剰在庫に対する値引き判断が担当者の経験に依存しており、作業負荷の高さから処理遅延や漏れが発生し、結果として廃棄へと繋がるという構造的な課題を抱えていた。
こうした課題を受け、九州地方でスーパーマーケットを展開する株式会社ロッキーは、株式会社シノプスが提供する需要予測サービス「sinops-R」を活用し、株式会社アールミートなどのパートナー企業と共同で、食品ロス削減に向けた実証実験を実施し、その結果を2026年2月4日に発表した。
ロッキーでは、すでに2021年よりシノプスが開発・提供する需要予測型自動発注サービス「sinops」シリーズを全28店舗に導入しており、日配食品や衣料品など、多岐にわたるカテゴリで稼働している。
今回の実証実験では、、sinopsが未導入であった精肉カテゴリを対象に、「sinops-R」を活用して食品ロス改善と業務効率化を目的とした2つのアプローチで検証が行われた。
1つ目は、AIによる精度の高い需要予測情報をPCへ共有し、原材料の仕入れや製造計画を最適化する取り組みだ。
従来は店舗の勘に頼っていた発注見込み数をAIで予測し直すことで、製造段階の食品ロスを3.0%削減し、店舗でのロス率も1.56ポイント改善させることに成功した。これにより、製造・店舗の両面で約4,400万円相当の削減効果が期待できると推計されている。

2つ目は、消費期限に応じて自動的に価格を変動させる「ダイナミックプライシング」の導入である。AIが算出した値引率を売り場に掲示し、POSレジで自動的に値引きが適用される仕組みを構築した。
これにより、従来の煩雑な値引きラベル貼付業務にかかる工数を83.3%削減し、店舗のロス率を1.3ポイント減少させる効果が確認された。ロス額と人件費の改善額を合わせると、全店舗で年間約9,900万円の削減効果が見込まれるという。

なお、同取り組みは、農林水産省の「令和6年度食品ロス削減緊急対策モデル支援事業」に採択されたものだ。
ロッキーは今回の実証実験の成果を踏まえ、精肉部門への需要予測システムの本格導入およびPCへの需要予測情報の継続的な共有を検討していく計画だ。
今後は、原料単位での仕入量予測に踏み込むとともに、鮮魚や日配品など他のカテゴリへの展開も視野に入れ、サプライチェーン全体を通じた食品ロス削減および人件費の削減を継続して推進していくとしている。
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