NICTとソニー、ミリ波IoT搭載サービスロボットによる協働型見廻りシステムを開発

昨今のコロナ禍における非接触ニーズの高まりから、多種多様な分野のサービスロボット(警備、清掃、案内のほか、消毒、配膳やデリバリーを行うロボット等)が急速に活躍の場を広げている。

特に、各施設等の見廻りについては、既に広く普及している防犯用固定カメラをより高解像度なものに交換し、その設置箇所を増やしてネットワーク化できれば、現地のより詳細で高度な状況分析結果を管理室など離れた場所からでも確認できる。しかし、広帯域通信ネットワークが用意されていない、又は、新規の敷設がコスト的、物理的に困難な場合もある。

国立研究開発法人情報通信研究機構 ソーシャルICTシステム研究室とソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は共同で、60GHz帯のミリ波を用いる次世代TransferJet通信技術(以下、TransferJet X)を搭載した自律移動サービスロボットによる協働型見廻りシステムを開発し、実証実験を行った。

同システムは、4Kカメラを搭載した複数の自律移動サービスロボットに対して無線で見廻りを依頼すると、見廻り場所近くにいるロボットが移動して撮影を行い、その後、撮影データは依頼者の元までロボット自身が運搬し、再生装置にTransferJet Xで無線伝送、自動再生される。

使用方法の一例としては、まず見廻り依頼者が、免許不要920MHz帯を用いるIoT無線デバイスで、周辺の協力可能な自律移動サービスロボットに見廻りを依頼する。依頼を受け付けた見廻り場所近くのロボットは、指定の見廻り場所まで移動し、搭載されている4Kカメラにより撮影を行う。

撮影データは、見廻り依頼者の元までロボット自身が運搬し、ソニーセミコンダクタソリューションズが開発した、60GHz帯を用いるTransferJet Xを用いるミリ波IoT無線伝送装置によって再生装置に無線伝送され、自動再生される。

今回の実証実験では、見廻り依頼者から86.8m離れた見廻り場所における約1分間の撮影データ(約10GB)を、最大移動速度毎秒0.8mのロボットが見廻り場所から依頼者の元まで届け、TransferJet Xによってデータ転送が完了するまで約163秒(移動時間129秒、伝送時間34秒)かかった。

この結果をデータ伝送スループットに換算すると、514Mbps(撮影データ容量を、見廻り依頼者の元に撮影データの転送が完了するまでの時間で割った数値)に相当する。これは、国内で商用サービスとして利用可能な5Gを用いた場合の技術規格上のデバイス間最大スループット480Mbpsに匹敵する速度だという。

また、同実証実験では、数百m範囲内の2台のサービスロボット間で協調動作を行い、より見廻り場所に近いロボットへの見廻り依頼や、待合せによる撮影データのロボット間受け渡しも可能なことを確認した。

同システムにより、広帯域通信インフラの新規敷設が困難な場所や電波の届かないエリアなどにおける高解像度カメラを用いた撮影データの実質的な無線転送手段として利用可能だ。災害や老朽化に伴う構造物のひび割れ等の検出を目的とした無人監視サービスや、ニューノーマル時代に求められる密なオフィス環境等の自動見廻りと注意喚起を非接触に行うサービスへの応用なども期待される。

今後は、実際のオフィス・ホテル・病院等のビル内や駅・商業施設等の構内といった実環境における実用性検証を、想定されるサービス提供者やビル・駅管理等に関わる企業様の協力を得て実施する予定としている。

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