金沢大学と津田駒工業ら、植物プラスチック全自動合成ロボットシステムを開発

金沢大学理工研究域生命理工学系の髙橋憲司教授らの研究グループは、津田駒工業株式会社と連携し、植物プラスチックを全自動で合成するロボットシステムを開発した。

同研究グループは、2022年8月からロボットシステムの設計・開発の協議を進めており、2023年3月末に第一世代試作機を完成させた。さらに、改良を重ね、2024年3月末に反応装置5個が連動して動く合成ロボットシステムを完成させた。

このロボットシステムは、植物を原料とする樹脂の自動合成し、素材の開発でボトルネックとなる植物由来樹脂の合成を自動化する。合成した樹脂は、物性を評価し、文部科学省が進めているデータベースへ登録される。登録されたデータは、機械学習の教師データとして、樹脂開発に向けて新しい機能性樹脂の予測・設計に利用することが可能だ。

金沢大学と津田駒工業ら、植物プラスチック全自動合成ロボットシステムを開発
素材開発イメージ

この自動合成ロボットシステムは、一度に5つの植物由来樹脂を合成することが可能で、1日に2セット運転することで、10のサンプルの合成が可能となる。年間に300日間稼働させると、3000サンプルな計算だ。

一般的に報告されているセルロース等の化学修飾方法は、カルボン酸無水物や酸クロリドを用いた不均一な条件で反応するため、置換度等の制御が困難であった。

今回開発された自動合成ロボットシステムでは、セルロースをイオン液体に完全溶解させた均一条件下で反応を行うため、エステル化の置換度を制御しながら全く新しい誘導体を合成できるのが特徴だ。

今後の展開としては、連続的に各種の植物由来樹脂の合成とその機械的・熱的物性データを、年3000サンプルペースで蓄積し、データベースに登録する環境を整えるとしている。

まずは、セルロースを母材とした樹脂の開発から進め、未利用の農業副産物やタンパク質などの誘導体の物性データをデジタル化し、機械学習から新しい素材の開発を行う。

また、今後蓄積される植物由来樹脂のデータベースは、植物を資源とする循環型社会への変革に活用されることが期待されている。

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