大日本印刷株式会社(以下、DNP)と株式会社東海理化は、スマートフォンでさまざまな鍵の施錠・解錠を行えるデジタルキープラットフォームの提供を開始した。
同プラットフォームは、自動車などのモビリティ分野に加え、小売・流通業や住宅業界など幅広い分野を対象にデジタルキーの配信・管理を行うプラットフォームで、自動車や家のドアの開閉やロッカー等での荷物の受け渡しなどの多様なサービスをスマートフォン1台で利用できるようになる。
同プラットフォームは、デジタルキーを配信・管理する「FREEKEY Server」と、複数のデジタルキー方式を統合する「FREEKEY Platform」で構成される。
FREEKEY Serverにより、スマートフォンを自動車や家などあらゆるものの鍵として利用できるようになる。 必要な時にスマートフォンアプリを通じてデジタルキーを速やかにダウンロードできる。このデジタルキーにより、物理的な鍵を所持・保管する必要がなくなるほか、有効期限も設定できるためシェアリングサービスの一時的な鍵としても利用できる。
また、ICカード等で培ったセキュリティ技術を採用したDNPのIoSTプラットフォームにより、日々進化しているサイバー攻撃に対してスマートフォン内のデジタルキーのデータを安全に保護し、特にモビリティ分野における車両盗難やサービスの不正利用を防止するとのこと。
さらに、東海理化の自動車部品で培った電波制御等のハードウェア技術とデジタルキー配信ロジック等のソフトウェア技術を活かし、同プラットフォームだけではなくデジタルキーに対応した電子錠デバイスまで含めたトータルでの提供が可能だ。
他方、FREEKEY Platformとサービス事業者のシステムを連結させることにより、サービス事業者のクラウドやスマートフォンアプリに対し、短期間かつ安価で簡単にデジタルキーを利用することができる。デジタルキーは単なる鍵としてだけではなく、多様なサービスに対する認証・電子チケットの配信など「スマートシティ」の実現に求められる様々な用途に利用可能だという。
同プラットフォームにより、例えば個人間カーシェアにおいては、自動車のオーナーとユーザーが鍵の受け渡し日時を合わせることなく非対面で鍵の受け渡しが可能だ。また、スマートフォンで開閉する宅配ロッカーでは、近年需要が増えている個人配送向けの荷物の非対面受け取りに活用できる。デジタルキーにより安全な置き配を可能にすることで、宅配業者は再配達の手間がなくなり、宅配利用者は時間に縛られることなく生活動線上で荷物を受け取ることができる。
今後DNPと東海理化は、2023年度には業界横断の団体Car Connectivity Consortium(CCC)(※)が策定する次世代のグローバル標準仕様に対応した「FREEKEY Server generation 2」の開発・提供も予定している。デジタルキー関連事業で、両社で2025年度に50億円、2028年度には100億円の売上を目指すとしている。
※ CCC:スマートフォンから自動車への接続ソリューション向けの技術開発等を推進する組織で、自動車関連企業のほか、スマートフォンメーカー、セキュリティ事業者など、世界で128社が加盟。
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